低トルク円すいころ軸受LFT-Vが量産開始
株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、社長:近藤禎人)は、2020年5月に発表した低トルク円すいころ軸受「LFT-V」の量産を開始しました。この新製品は、いすゞ自動車の新型「MU-X」に採用され、リアデファレンシャルに搭載されます。
LFT-Vの特徴と技術
LFT-Vは、ジェイテクトが1983年に開発した円すいころ軸受LFT®の最新モデルです。この軸受は、自動車などのトランスミッションやデファレンシャルでの使用を想定しています。今回のLFT-Vでは、樹脂保持器の形状を最適化し、潤滑油の流入をコントロールすることで、損失トルクを従来モデルのLFT-Ⅳと比較して最大15%低減しました。これにより、昇温も最大10℃低下し、製品の軽量化も実現しています。
この技術革新は、モビリティ産業の低燃費化と環境への配慮に貢献する重要な要素となります。ジェイテクトは、こうした特性を活かし、大型乗用車の燃費向上を実現し、CO2排出削減を目指しています。
新型「MU-X」の高い評価
いすゞ自動車の新型「MU-X」は、1トン積みピックアップトラック「D-MAX」の派生車として開発されました。7人乗りの乗用ユースモデルであり、悪路でも高い性能を発揮することから、タイやオーストラリア、南アフリカなど世界中で販売されています。新型は「Bold and Dynamic」をテーマにデザインが刷新され、高級感とスポーティさを強調したRSグレードが新たにラインアップされました。
LFT-Vがもたらす効果
LFT-Vが新型MU-Xに採用されたことにより、低燃費化に寄与し、環境負荷の軽減も期待されています。特に新型モデルは、そのリアデファレンシャルにLFT-Vを搭載し、高効率な走行が可能となります。これにより、いすゞ自動車は燃費性能を向上させはもちろん、カーボンニュートラルの実現にも貢献していく方針です。
未来への展望
今後、ジェイテクトはLFT-Vの量産を皮切りに、自社技術を駆使してより多くの車両や産業機械に適応していきます。モビリティ社会におけるエネルギー損失の低減を目指し、柔軟なソリューションを提供していく予定です。
さらに、ジェイテクトグループは、新たに設立されるソリューション共創センターを通じて、製品と製造設備に関するコンピタンスを生かし、お客様のニーズに応える製品開発を進めています。これにより、社会が抱える様々な課題を解決していくと同時に、持続可能な未来の実現に向けた取り組みを強化する考えです。
自動車産業における革新は今後も続き、ジェイテクトの率いる技術開発は、より良いモビリティ社会の構築に寄与していくことでしょう。