給与のデジタル払いに関する意識調査から見える利用のリアルとその背景
エン・ジャパン株式会社が運営する日本最大級の求人サイト『エン転職』が、約4,800名を対象に行った「給与のデジタル払い」に関する意識調査の結果が発表されました。この調査では、日本における給与のデジタル払い制度に対する認知度や利用希望に関するリアルな声が集約されています。
調査概要
調査は2024年9月26日から10月28日にかけて実施され、有効回答数は4,830名。結果として浮かび上がった意見は、デジタル時代の中での給与受け取りの変化を考える上で重要な指標となっています。
1.給与のデジタル払いの認知と利用希望
調査によると、給与のデジタル払いについて「知っている」と答えたのは64%。しかし、実際に「利用したい」と答えたのはわずか15%にとどまり、70%が「利用したくない」とする結果になりました。特に20代は「利用したい」と答えた人が多いものの、30代以上の層ではデジタル払いへの抵抗感が強いことも浮き彫りになりました。
2. 利用したい理由とその背景
デジタル払いを希望する理由のトップには「キャッシュレス生活をしているから」が挙げられ、半数以上がこの意見に同意しました。続いて、「手数料が不要になるから」や「チャージの手間が省けるから」といった声も多く見られました。これに対し、特に若い世代はデジタル決済に親しみを感じている様子がうかがえます。
具体的なコメントの一例
- - 「普段からQRコード決済を利用しているので、銀行に行く必要がないのがいい」 (20代女性)
- - 「手数料がかかるのが勿体ないので、無くなるのは嬉しい」 (30代男性)
3. 利用したくない理由
一方で、デジタル払いを「利用したくない」とする理由の最大の要因は「銀行口座への資金移動が面倒」というもので、全体の49%がこの意見に賛同しています。特に40代以上の層ではこの傾向が顕著であり、口座引き落としなどの現実的な問題が影響していることが見て取れます。
その他の懸念点
- - アプリや電子マネーのセキュリティに不安を覚える声もあり、20代では14%がこれを理由に挙げています。
- - 利用店舗が限られていることも意見の一つで、現金支払いの店舗が多い中での利用の難しさが指摘されています。
4. 転職市場に与える影響
転職先を選ぶ上で、給与のデジタル払いが「志望度が下がる原因になる」と回答した人は21%でした。デジタル払いに対する意識は、求職者の働き方にまで影響を及ぼす要因となっていることが明らかになりました。
結論
調査結果から、給与のデジタル払い制度は新しい働き方を模索する中で、一部の人々には魅力を感じられる一方で、根強い抵抗勢力や懸念も存在していることが浮き彫りにされました。今後、デジタル払いが普及するためには、利用者の声に耳を傾け、条件面での改善が必要であると言えるでしょう。特に5年間の動向を見る中で、企業側からの取り組みと共に、求職者の意識改革も求められるのかもしれません。新しい時代のニーズに応えるため、今後の動向から目が離せません。