北海道白糠町のたらこ・明太子、20万件の販売数を突破した理由

北海道・白糠町は、漁業が盛んな地域で、特にたらこや明太子が多く製造されています。この町で生産されるたらこと明太子は、塩漬けによる保存性に優れ、ふるさと納税の返礼品としても大変人気があります。2025年6月までに、累計で20万件以上の販売を突破しました。

その魅力を探るため、今回は町内で製品を製造している「広洋水産株式会社」と「東和食品株式会社」に焦点を当てました。両社はそれぞれのこだわりで、たらこと明太子を生み出しています。

食文化の背景

たらこの親魚であるスケソウダラの漁は、明治時代から北海道で行われており、特に捨てるところのない魚として有名です。卵や白子まで様々な形で利用され、卵は塩漬けにされることで保存食として発展しました。その後、鉄道や冷蔵技術の進化により、全国に広まりました。この流れが、今日の博多の明太子文化や、さまざまなたらこ料理の発展に繋がっています。

製造工程の秘密

東和食品株式会社の矢澤さんによると、たらこの製造には、約一週間をかけるといいます。冷凍されたスケソウダラの卵は一晩かけてじっくり解凍され、その後は調味液に漬け込まれます。この漬け込み作業も、専用の回転樽を用いて行われ、細かい調整が必要です。これはまるで職人の技を発揮する場所です。

一方、広洋水産株式会社では、卵に均一に味が染み込むように回転する装置が使用されています。入社5年目の横川さんは、この工程を見学に来た人々の驚きを目にしています。完成品は熟成、液切り、選別を経て、急速冷凍されるため、鮮度を守るための工夫も重要です。

鮮度管理の工夫

広洋水産は、室温管理を特に重視しており、作業スペースは常に一定の温度を保つよう設計されています。女性スタッフの手がかじかむことも考慮しつつ、絶妙な温度管理が求められます。

東和食品は、品温管理に特化しており、たらこは作業中に定期的に温度を測定し、規定の時間内に必ずできるだけ早く冷蔵庫に戻すという厳格なルールを守っています。これにより、品質の劣化を防いでいます。

選別作業の重要性

広洋水産では、たらこを30種類もの等級に分ける選別作業を行っています。これは経験と技術を必要とし、選別担当者は10年以上の経験を持つ人も多いです。この選別作業は、商品の質を決定する重要な工程であり、誰もが行えるわけではありません。

東和食品は、寿司業界向けに開発された「減塩たらこ」が人気ですが、これには高品質な卵が必要です。原料は、アメリカと韓国から調達し、製品に合わせた品質を確保するために、社員が現地で目利きをしています。

味の違いと食べ方

広洋水産のたらこは塩味と辛味が強めで、ご飯と一緒に食べることを想定した味付けです。対する東和食品は、減塩たらこで塩分30%カットのため、料理へのアレンジがしやすく、特に焼きたらこは子どもにも食べやすいと評判です。

たらこの未来と可能性

矢澤さんは「たらこは唯一供給が安定している魚卵で、まだまだ可能性がある」と話し、さらなる展開を目指しています。一方横川さんは「職人の技を次世代にどう引き継ぐか」が課題だと語り、ブランドの継承に力を入れています。

たらこや明太子は単なる保存食ではなく、地域の誇りであり、その魅力は食卓に届く一粒一粒に込められています。ふるさと納税を通じて、この素晴らしい商品をぜひ味わってみてはいかがでしょうか。