新卒社員の定着率を向上させる取り組み
藤川伝導機株式会社は、最近取り入れた独自のメンター制度によって、新卒社員の離職率を劇的に改善しました。この制度は、シーズアンドグロース株式会社(以下、SAG)によって構築されたもので、先輩社員が新しい社員の相談役となる仕組みです。この新たな試みは、入社から数年内の早期離職が年々増加する中で、企業が抱える大きな悩みを解決する手段となりました。
現代の企業が抱える離職問題
近年、多くの企業では新入社員の離職率が上昇傾向にあります。特に、厚生労働省が発表したデータによれば、従業員数が30~99人の企業での大学卒業生の離職率は42.4%、100~499人では35.2%に達しています。このような状況は、特に中小企業において深刻ですが、藤川伝導機も例外ではありませんでした。2022年度の同社の退職率は約25%とされており、業界平均を大きく上回るものでした。
離職の原因
藤川伝導機の新卒社員は、入社後すぐに全国各地の拠点へ配属されるため、本社側で彼らの在籍状況や退職リスクを把握しづらいという課題を抱えていました。また、各拠点には中途採用の社員が多く、新入社員の教育に不慣れであることも一因として指摘されています。このような背景から、早期離職を防ぐための具体的な育成プログラムが求められていました。そこでSAGが提供したのが、オーダーメイドのメンター制度です。
メンター制度の具体的内容
藤川伝導機では、メンター制度を導入し、新入社員1名に対し2名のメンターが付くという形式を取りました。メンターには、先輩社員であって新入社員と近い年次の者が選ばれ、毎年7月にはメンター研修を受けることでスキルを磨きます。この研修では、メンターとしての役割や新入社員との関係構築方法、モチベーションの管理方法などが学ばれます。
定期的なフォローアップ
設定したメンター制度の一環として、SAGとのオンライン定例会も実施されており、メンターが直面している現在の問題や新入社員の進捗を確認する場が設けられています。これにより、メンター間の情報共有や団結が強化され、オープンなコミュニケーションが促進されています。定例会には各拠点のメンターが集まり、他拠点の状況を確認することで、お互いの悩みを理解し合う機会も増えています。
メンター制度の成果
このメンター制度の導入によって、藤川伝導機では2024年度の退職率が13%と大幅に低下しました。特に新卒者の退職率は17%から8%に改善され、定着率の向上が図られました。さらに、この成果は新入社員の定着だけでなく、既存社員のモチベーションを高めることにも寄与し、全体としての社員満足度向上にもつながっています。
今後の展望
メンター制度は、単なる社員の退職を防ぐ施策ではなく、企業内に人を育てる文化を根付かせる重要な取り組みです。藤川伝導機は、今後も社員育成に向けた環境づくりを進め、組織力の向上を目指していくとしています。この制度には社風や教育方針が大きく関連しているため、導入時には十分な検討やカスタマイズが求められます。
結論
藤川伝導機が取り入れたメンター制度は、離職率の改善だけでなく、全社的に「育成」に対する意識を高める結果を生み出しています。このように、社員の定着率向上と企業文化の形成が繋がることを示す良い実例となりました。今後もこの取り組みを通じて、さらなる進化を期待したいところです。