2023年度決算で、海外交通・都市開発事業支援機構(JOIN)が約799億円の当期純損失を計上しました。特に問題視されているのが、ミャンマーでの都市開発プロジェクト、特にヤンゴン博物館跡地開発(通称Yコンプレックス)で、ここでの損失は約109億円に上ります。この事業は、ミャンマー陸軍が所有する土地に建設されており、賃料は米国、英国、カナダから制裁対象とされているミャンマー兵站局に支払われることが明らかになっています。
JOINの提携先である現地企業Ayeyar Hintharの子会社を通して支払われる賃料が、実質的に軍事政権の資金源に繋がっているという点で、人権侵害と関わりがあることが問題視されています。特に、ミャンマー軍政は2021年のクーデター以降、市民を含む約6,000人の殺害及び20,000人以上の不当に拘束するなどの人権侵害が報告されています。
市民団体はJOINに対して、これまで何度もYコンプレックスからの撤退を求めてきましたが、JOIN及び国土交通省はこれに対して何ら具体的な応答をしていません。また、2024年に設置された有識者会議でも、事業活動と人権保護の関係が議論されることはありませんでした。
JOINが計上した約799億円の損失は、日本国民にも影響を与えるものであることから、市民からの不満が高まっています。SNSや署名活動を通じてJOINへの撤退を訴える声が上がり、国土交通省の対応が待たれています。国の資金が不当な政権に流れることを避け、国際社会の人権基準に従う形で事業が見直されることが求められています。
Yコンプレックス事業については、これはミャンマーの民間人を直接支援するものではなく、軍政を利するものであるため、国際的な支持が得られない可能性があります。特に現在、ミャンマーの国軍は国際社会で承認されていないため、仮に選挙を実施してもその信用性が疑問視されます。
市民団体はJOINに対してさらなる透明性と責任を求めており、ミャンマーの民間人や国際人権法に基づく誠実な対応が求められています。また、Yコンプレックスの撤退が、国民不在の過去の失策を繰り返さないための重要な一歩になると強調しています。
JOIN及び国土交通省は、Yコンプレックスにおける支援決定から始まった損失の経緯について公表し、次の政策判断において国民に対して透明性のある説明を行うべきです。国民を間接的に軍への支援に巻き込むこの事業の撤退を求める市民団体の声は、これからも続くでしょう。