日本電気硝子とGAITの革新技術
日本電気硝子株式会社(NEG)が開発した超薄板ガラスを使用したHiFiスピーカー用振動板が、株式会社ステレオサウンドが発行するオーディオ・ビジュアル専門誌「HiVi」の主催する「第41回 HiViグランプリ 2025」で、名誉ある「技術特別賞」を受賞しました。
このスピーカー用振動板は、厚さ25μmから200μmという非常に薄いガラスを用い、GAITが独自の3D成形技術を駆使して製造されています。音響性能においては、従来の素材である紙や金属、樹脂を凌ぐ音の立ち上がりやクリアな再現性を実現しており、これにより音楽体験が格段に向上しています。
HiViグランプリとは
「HiViグランプリ」は、30年以上の歴史を持つ「HiVi」誌によって主催される、オーディオ・ビジュアル業界で最も権威のある年間アワードです。このコンペティションでは、2025年に発表されたすべてのオーディオ・ビジュアル製品が対象となり、その年の音響市場での優れた成果を認められる製品が選ばれます。選考には、著名な評論家が参加し、厳密な審査を経て受賞製品が決まります。
超薄板ガラス振動板の特長
超薄板ガラス(Ultra-thin Glass, UTG®️)は、革新的な技術として厚さが25μmから200μmのガラスを用いています。このガラスは3D成形技術を用いて振動板として加工されており、振動板としての音響特性は以下のようになっています:
- - 音の立ち上がりが速い: 音の発生からピークに達するまでの時間が短く、音の輪郭がはっきりしています。これにより、打楽器や弦楽器の音が鮮明に再現されます。
- - 少ない内部損失: 雑音を抑える特性があり、音の立ち下がりが速いため、次の音がクリアに聴こえます。これにより、全体としての歪みが少なく、引き締まった音が得られます。
- - 軽量で高精度な音の表現: 軽やかに振動し、繊細な音のニュアンスを正確に表現可能です。
- - 環境変化に耐性: 温度や湿度の変化に強く、劣化しにくくなっています。
このような特性により、超薄板ガラス振動板は音響機器の革新を促進しています。音楽ファンばかりでなく、業界の専門家からの評価も高まっています。
GAITと日本電気硝子のパートナーシップ
GAITは、2020年に創業した台湾のスタートアップ企業で、超薄板ガラスを精密に3D加工できる唯一のメーカーです。NEGとの戦略的パートナーシップを締結し、オーディオ業界での超薄板ガラス振動板の開発や製造を共同で行っており、双方にとって大きな相乗効果を生み出しています。
日本電気硝子の企業理念
日本電気硝子株式会社は、70年以上の歴史を持つ特殊ガラスメーカーで、新たな機能を持つガラス製品を製造しています。自社の技術を駆使し、半導体や電子機器、自動車、医療、エネルギーといった多岐にわたる分野でのニーズに応えています。提供する素材は、生活を豊かにするだけでなく、産業の発展にも寄与しています。
最後に
超薄板ガラス振動板の技術革新が、今後のオーディオ分野にどのような影響を及ぼすのか、ますます注目が集まっています。音響を愛するすべての人々に新しい音楽体験が約束されることでしょう。