ヤマシタ、AIファーストDX方針を打ち出す
株式会社ヤマシタは、静岡県島田市に本社を構える介護用品のレンタル・販売およびリネンサプライ事業を展開する企業です。この度、同社は「AIファーストDX方針(2025–2027)」を発表しました。そのテーマは「労働集約だからこそAIで人の価値を最大化する」というもので、AIを通じて業務の効率化と高生産性モデルの実現を目指します。
介護業界の現状と課題
ヤマシタは約3,000名の社員を有し、全国約10万人の在宅介護利用者を支援しています。高齢者や障害者の生活を支える介護業界は、依然として人手に依存したビジネスモデルが主流です。そのため、現場のスタッフによる判断や経験が大きな価値を持ちます。一方で、リネンサプライ事業においては、需要予測や在庫管理が求められますが、現場の状況把握が不可欠です。
AIとの協働による効率化
サービスの向上を図るため、ヤマシタが目指すのはAIとの協業によって、従業員がより高度な仕事に集中できる環境づくりです。AIを活用することで、記録や照会、データ処理といった周辺業務を自動化し、介護を含む生活インフラ産業を効率化します。これにより、現場スタッフは専門性や判断、対話に専念できるようになります。
AIファーストDX方針の概要
1. 全社員がAIを利用できる環境の整備
ヤマシタは、全社員がAIを扱えるようにするための教育とデジタル化を進めています。ローコードやノーコード開発が進化し、従業員自らが業務アプリを作成することが可能になります。
2. ホームケア事業の基幹システムの見直し
ホームケア事業においては、AIと協力するために、利用者の身体状況や住環境に基づいた業務フローを洗練させる取り組みが進行中です。基幹システムを自社開発し、AIに理解できる共通基盤を構築することで、効率的なサービス提供を目指します。这旨、企業全体の効率化を図り、新たなビジネスモデル創出を支援します。
3. リネンサプライ事業の供給インフラの高度化
リネンサプライ事業では、在庫管理や需要予測、配送計画といったプロセスのAI統合を進め、高効率かつ高品質な供給体制を構築します。2030年に向けて、より洗練された供給体制を実現することを目指します。
現場主導の業務アプリ開発
ヤマシタでは、非IT部門の社員が自らアプリを作る文化が広がっており、100名以上の社員が既に業務アプリを開発しています。現場のニーズに応じた小規模な改善が実装され、ROIが1,000%を超える成果も上がっています。これにより、現場の問題解決が進むとともに、社員が自身のアイデアを形にする環境が整っています。
AIエージェントHR構想の採用
ヤマシタでは、AIを単なるツールとしてではなく「社員」として扱う「AIエージェントHR構想」を採用しています。AIごとに役割やKPIが設定され、それをもとに評価・管理される仕組みが整えられます。将来的にはロボット技術も加え、AIと人が協働で業務を行う組織モデルへ進化していく計画です。
代表のコメント
代表取締役社長の山下和洋氏は、「現在進行中のグローバルな変化に適応するためには、新しいテクノロジーの導入とそれを扱える人材の採用が不可欠である」と述べています。ヤマシタは伝統的な産業の中にこそ大きなチャンスがあるとし、今後も人間の価値を最大化し続ける組織を目指します。
まとめ
ヤマシタの「AIファーストDX方針」は、介護業界の革新を志向し、AIを活用することで生産性の向上を図ります。同社は、AIとの協業によって、企業の持続可能な成長を実現し、業界全体の進化を促進していくでしょう。