ウェブアクセシビリティ対応における企業の実態と課題について

ウェブアクセシビリティの重要性と企業の現状

近年、企業のウェブアクセシビリティに対する取り組みが注目を集めています。最新の調査結果によると、企業の規模による対応状況の違いが見られ、特に中小企業でのアクセシビリティ対応の遅れが指摘されています。この問題の背景には、リソース不足や知識不足が大きく関与していることが分かります。

調査結果の概要

調査を行ったのは株式会社Kivaで、全国の20歳から60歳までの男女を対象にしたインターネットリサーチです。調査の結果、大企業と中企業では26%がウェブアクセシビリティ対応をしている一方で、小企業ではその数字がわずか6%にとどまることが明らかになりました。特に、小企業では86%が「対応していない」と回答しており、その遅れが懸念されています。

大企業と中小企業の意識

ウェブアクセシビリティ対応を進めている企業の多くは、「会社として対応した方が良いと思ったため」という理由が44%を占めており、障害者差別解消法の改正を機に対応を進めている企業も38%に達しています。これに contrast して、小企業では「会社として今すぐに対応する必要はないと思っている」という意識が強いため、対応が後回しにされていることがわかります。

対応方法の違い

大企業では54%が自社でウェブアクセシビリティに対応しているのに対し、中企業では40%がウェブアクセシビリティのコンサルタントに依頼しています。小企業においては、自社対応とツール導入が同率で39%を占め、技術的なリソース不足の中で効率的に対応しようとしています。

考えられる課題

調査の中で「担当者がいないため」との回答が目立ち、大企業でも36%がこの理由を挙げています。また、中企業でも同じ理由が最大の課題となっており、どの企業もリソース不足が共通の問題であることが浮き彫りとなりました。このリソース不足は、特に小企業においては「今すぐ対応する必要がない」という考えが強いため後回しにされがちです。

今後の展望

2024年4月1日から施行される障害者差別解消法改正により、民間企業にも「合理的配慮」が義務化されるため、特に大企業ではウェブアクセシビリティの対応が一層急務となるでしょう。これを機に、専任チームの設置や外部委託を活用する動きが進むことが期待されます。また、中小企業においても、ウェブアクセシビリティツールの導入が進むことで、リソース不足を補うと考えられます。

ウェブアクセシビリティとは

ウェブアクセシビリティは、障害者や高齢者を含むすべてのユーザーが情報にアクセスできることを指します。この概念は、単に障害者のためだけでなく、あらゆる年齢や状況の人々が利用できるウェブサイトを目指すもので、加齢や怪我、病気などで一時的に機能に制約がある人々にも配慮されています。これにより、全てのユーザーが平等に情報を得られるWeb環境の構築が求められています。