EY、経済安全保障リスク対策強化
2024-07-08 10:47:13
経済安全保障リスク通報窓口設置で、EYストラテジー・アンド・コンサルティングが企業機密情報の保護強化へ
EYストラテジー・アンド・コンサルティング、経済安全保障リスク通報窓口を設置
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EYSC)は、経済安全保障対策強化の一環として、社内に「経済安全保障リスク通報窓口」を設置したことを発表しました。近年、地政学リスクの高まりに伴い、企業が保有する機密情報が国家ぐるみで奪取される「エコノミック・ステイトクラフト」と呼ばれる脅威が深刻化しており、経済安全保障への関心が高まっています。
EYSCは、コンサルティング業務を通じてクライアントから提供される機密情報や先端技術情報が、経済スパイ行為によって不正に持ち出され、日本の競争力を低下させる可能性を懸念しています。同社は、経済スパイ行為の摘発と抑止を強化することで、クライアントと従業員の安全確保、ひいては日本の経済安全保障に貢献したいと考えています。
経済安全保障リスク通報窓口の役割
設置された「経済安全保障リスク通報窓口」は、EYSC社員が社内外から執拗に営業秘密に指定されている情報を求められた場合などに、通報するよう求めるものです。通報された情報は、必要に応じて警察や公安調査庁などの捜査機関、調査機関に共有され、経済スパイ行為の根絶を目指します。
経済安全保障対策の強化
EYSCは、経済安全保障対策として、2022年1月には米国の政府機関であるNIST(米国国立標準技術研究所)が定めたセキュリティガイドライン「NIST SP800-171」に準拠した執務環境でのコンサルティングサービスの提供を開始しました。さらに、2023年8月には経済安全保障対策ポジションを新設し、内部管理体制を強化してきました。
今回の「経済安全保障リスク通報窓口」設置は、これらの取り組みをさらに強化するものであり、不審な行為を早期に把握することで、クライアントと従業員の安全確保を高めるとともに、経済安全保障対策をより一層強化していくことを目的としています。
EYSC チーフ・エコノミック・セキュリティ・オフィサー 國分 俊史氏のコメント
「多くの日本企業の戦略立案や技術開発支援、サプライチェーン改革、情報システム改革を日々支援しているわれわれが有する情報の価値を経済安全保障の観点から適切に捉え、日本に対するエコノミック・ステイトクラフトリスクの低減に貢献することは社会的責務と考えます。われわれの取り組みがコンサルティング業界はもちろん、クライアントを含め、多くの日本企業にとって参考となるよう、取り組みの詳細を必要に応じて共有してまいります。」
EYストラテジー・アンド・コンサルティングについて
EYストラテジー・アンド・コンサルティングは、グローバルレベルのネットワークと規模を有するEYグループの一員として、クライアントの企業戦略、キャピタル戦略、トランザクション戦略、ターンアラウンド戦略の推進から実行までをサポートし、あらゆるマーケット環境における迅速な価値創出、クロスボーダーのキャピタルフローを支え、マーケットに新たな商品とイノベーションをもたらす活動を支援しています。
経済安全保障対策の重要性
経済安全保障は、国家の安全保障を維持するために、経済的な手段を用いて国家の利益を守り、強化することを目的とした取り組みです。近年、先端技術や資源の重要性が増す中、国家間の競争が激化し、経済的な手段を用いた情報窃取や技術流出などの脅威が顕在化しています。
EYSCが設置した「経済安全保障リスク通報窓口」は、企業が経済安全保障対策に取り組むことの重要性を示すものであり、今後、多くの企業が同様の対策を導入していくことが予想されます。