神戸六甲鉄道株式会社は、2022年に発生したケーブルカーの運休問題など、施設や車両の老朽化を背景に六甲ケーブル線の旅客運賃を改定する届出を国土交通省に提出しました。改定は2025年4月13日から施行され、通常の乗車料金が片道800円に引き上げられます。これは現行の600円から33.3%の値上げとなります。
改定の背景
近年、六甲ケーブル線では運休が相次いでいます。この背景には、厳しい気象条件や施設の経年劣化がありました。それに対処するため、親会社である阪神電気鉄道に鋼索鉄道の施設を譲渡し、投資と保守管理を行うことで、安全性向上を図ることが決定されました。この改定の一環として、安全管理体制の強化が求められており、2024年度からは施設の大規模改修工事が予定されています。
安全性向上とサービス改善
運賃改定の目的は、安全かつ安定した運行を維持しつつ顧客サービスを向上させることです。具体的には、2025年度にわたり、以下のような工事が実施される予定です。
1.
車両リニューアル工事: ケーブルカーの車体台枠や運転制御装置の更新、客室内の設備を改善し、安全性と快適性を高めます。予算は約1,120百万円。
2.
施設改修工事: 車両検修設備や老朽化した線路を更新し、安全性を向上させる工事。予算は200百万円。
3.
駅舎改修工事: 駅の照明をLED化し、駅舎の耐震補強や広場の改修を行います。予算は70百万円。
経営状況の見通し
運賃改定による収入見込みは、2024年度から2026年度にかけての推定収支として、897百万円の収入に対し905百万円の支出が計画されています。運転休止期間中の代行バス輸送費用の増加や観光客の減少が影響する中、この運賃改定が重要な財源となります。
結論
経営上の厳しい状況の中、六甲ケーブル線では安全性を最優先とした運行が求められています。安定した事業運営のためには、観光客の理解と協力が不可欠です。この運賃改定によって、将来的にはより安全で快適なサービスを提供できるよう、鉄道事業の改善に取り組んでいく予定です。皆さまには、今回の改定に対し前向きなご理解を賜りたいと思います。また、詳しい情報は公式サイトからもご確認いただけます。これからも六甲ケーブル線をよろしくお願いいたします。