企業における社内稟議の実態とその問題点を分析
弁護士ドットコム株式会社(以下、弁護士ドットコム)が運営するプロフェッショナルテック総研は、契約マネジメントプラットフォーム「クラウドサイン®︎」の利用者に対して社内稟議の実態調査を実施しました。この調査により、承認に要する時間の実態や稟議プロセスで抱える課題が浮き彫りになりました。
調査背景と実施目的
日本国内の多くの企業では、社内稟議がプロジェクトの立ち上げや契約の締結において不可欠なプロセスとなっています。しかし、紙やメールで進行する伝統的な受け渡し方法は、時間がかかるだけでなく、確認漏れ等の問題を引き起こしやすく、その結果として業務のスピードを低下させてしまいます。このことを受けて、弁護士ドットコムは契約マネジメントプラットフォームの利用者に向けて、社内稟議の実態を把握する調査を実施するに至りました。
調査概要
調査はプロフェッショナルテック総研が実施し、方法としてウェブアンケートを採用しました。対象はクラウドサイン利用者から集まった312名で、調査期間は2024年9月25日から10月31日までです。以下は主な結果です。
主な調査結果
1. 稟議承認までの所要時間
調査によると、社内稟議の承認完了にかかる時間は「1日以上」が約7割を占め、最も多いのは「2〜3日」で52.5%でした。その他に「1日以内」が19.3%、「4〜5日」が14.4%と続き、「1日以内に終わる」の割合が26.5%であることも明らかになりました。これにより、企業の意思決定が迅速に行われていない実態が浮き彫りになりました。
2. 稟議手段
稟議を実施する手段については、80.1%がデジタルな方法を用いているという統計が出ました。具体的には、67.6%がワークフローシステムを使用し、次いでメールやチャットが12.5%、紙とハンコがわずか7.4%という結果に。これは企業のデジタル化が進んでいることを示唆しています。
3. 稟議の課題
調査によれば、約6割の回答者が社内稟議の仕組みに課題を感じており、最も多い回答は「承認完了までに関わる人が多すぎる」とのことでした。この問題は41.0%が選んでおり、他にも「稟議書作成前の相談や根回しに時間がかかる」(35.9%)、「稟議書の作成対象範囲が広すぎる」(31.6%)といった意見も寄せられました。これらの結果から、決定過程を効率化する必要性が浮き彫りになっています。
現在の課題解決に向けて
上記の調査結果から明らかなように、社内稟議のプロセスには多くの課題が存在しています。企業はこの状況を改善し、より迅速かつ透明な意思決定を実現するために、今後さらなるデジタル化や業務プロセスの見直しを図ることが求められます。また、これによりDX(デジタル・トランスフォーメーション)の効果を最大限に引き出すことが可能になるでしょう。
プロフェッショナルテック総研について
弁護士ドットコムのプロフェッショナルテック総研は、様々な専門分野における知見をテクノロジーと結びつけ、専門的なデジタル・トランスフォーメーションの推進を目指しています。企業の課題を解決するための革新的な手法を探求し、多くの企業に寄与できるよう尽力しています。