小売業界の変化とメーカー営業への期待が明らかに
株式会社マーケティング研究協会のトレードマーケティング部が、消費財メーカーの営業活動を向上させるために「メーカーとの商談・販促立案に関するアンケート2025年」を実施し、その結果を公表しました。今回の調査では、小売業界が直面する変化とメーカー営業に対する期待が明らかにされました。
現状の小売業界
近年、小売業界では競争がますます激化しており、M&Aによる企業のスケールアップ、人材不足や働き方改革といった構造的変革が進んでいます。こうした環境の中で、メーカーとの商談や提案の内容も変わりつつあります。この調査では次の項目について、重視する内容や商談の意義を探りました。
1. メーカーとの営業活動・商談における重視点と満足度
2. 提案に対してネガティブに捉えるポイント
3. メーカー営業の変化と求められるスキル
4. 今後の商談の変化予測(半期商談・定期商談)
5. 方針決定において相談するメーカーと時期
6. 販促の重要性
7. メーカー上層部との接点に関する情報
注目の傾向
調査の結果、目立つトレンドが4つ見受けられました。
1. 他チェーンとの差別化を重視する提案
市場が不透明になる中で、同じカテゴリー内でも業績に差が生じており、小売業は「他社との差別化が可能な提案」をこれまで以上に重視しています。汎用的な販促策に関しては、これまでと同様に受け入れられにくくなっており、メーカーは独自性のある施策を提案する必要があります。特に、「他チェーンと同じ内容の提案」が最も嫌われる傾向にあり、34.5%の人がイヤだと感じています。これによりメーカーには、クリエイティブなアイデアと市場を見据えた独自の提案が求められています。
2. 商談の早期化
競争優位性を築くため、メーカーはプライベートブランド(PB)関与や特定商品の企画に投資する傾向があります。そのプロセスは長期化する一方で、商談を早めに行うニーズも高まっています。人数不足の影響もあって、小売業は迅速に全体の見通しを立てるための提案を求めています。
3. 大手小売業とメーカーの関係
メーカー側は「ダイヤモンド営業」を志向し、取引先との関係を深めようとしています。しかし、調査では大手小売業におけるメーカー満足度が低下していることが判明しました。単に短期的な施策だけではなく、長期的な成長を考慮した提案が必要とされています。
4. オペレーションの負荷を厳しく評価
大手の小売業は、大規模な売場変更や人手を多く要する販促施策について慎重になる傾向が強くなっています。「実施負荷に見合う効果があるのか」を厳しく判断するようになり、特に人手不足が影響を与えています。そのため、メーカーは提案のタイミングや内容の正確さが求められるようになっています。
調査報告書の内容
調査は2025年5月13日から6月30日まで行われ、小売業の商品部門、販促部門、マーケティング部門、営業部門を対象とし、有効回答数は116件でした。この調査レポートは40ページに及び、各業種や役職別の詳細なデータやグラフも掲載されています。
まとめ
株式会社マーケティング研究協会は、継続的な調査を通じて小売業界の動向を捉え、メーカーとの商談が効率的且つ効果的になるためのサポートを行っています。興味のある方は、ぜひレポートをお求めください。