ARM Technologies株式会社(神奈川県相模原市)が、株式会社アイシン(愛知県刈谷市)、東京大学先端科学技術研究センター(東京都目黒区)の協力のもと、世界初となる新しいエネルギーシステムの実証試験に成功した。これは、液体水素キャリアを用いたグリーン水素の製造からその利用までの一連のプロセスを検証するもので、2026年の実施結果とともに新技術の可能性を示している。
この新システムでは、太陽光発電を利用して生成したグリーン水素を独自開発した液体水素キャリアに充填し、都市間輸送後に電力として使用する。これは、特に安全性を考慮した設計に特徴がある。従来の水素運搬方法では高圧ガスや極低温液体が必要だったが、この技術では常温常圧で安全に持ち運ぶことが可能で、ポンプでの移送も容易だ。
実証のポイント
この実証の大きな特徴は、以下の3点に集約される。
1.
液体燃料としての水素:新しい液体水素キャリアは、水系で不燃性を持ち、高圧ガスや危険物に該当しないため、従来の水素の取り扱いに比べて、安全性が大幅に向上している。ポリプロピレン容器に貯蔵し、トートバッグでの運搬が可能になるなど、利便性も大きな魅力である。
2.
高効率な発電:多くの化学物質を利用する方法と異なり、この液体水素キャリアは、太陽光パネルからの電力を直接利用して水素を液体状態に貯蔵できる。また、電力取り出しも独自の発電システムに注入するだけで行えるため、エネルギー効率が20~30%に対し、約45.2%と格段に向上している。
3.
一貫したプロセス:相模原市から東京大学までの実際の環境で、グリーン水素の製造から発電への利用までを試験し、5回の運搬を経て実証を行った。これにより、実際の使用条件下での運用可能性が確認されつつある。
実証概要
実施期間は2026年2月21日から3月27日まで、さがみはら産業創造センター等でグリーン水素を生成し、東京大学駒場キャンパスで電力として利用した。運搬には様々な燃料電池車や電気自動車が用いられ、総水素利用量はおよそ0.69Nm³に達した。
社会的意義
この新しい水素技術が社会に与える意義は大きい。再生可能エネルギーの普及や災害時のエネルギー供給、エネルギー安全保障の向上に寄与すると見込まれている。エネルギーを「貯める」だけでなく「運ぶ」という新しい選択肢を提供することで、エネルギーの効率的な利用が進むことが期待される。
今後の展開
ARM Technologiesとその協力者は、今後インフラとしての活用方法を模索しており、再エネ貯蔵やモバイルバッテリーの新しい供給モデルなど、さまざまな展開を計画している。これにより、持続可能なエネルギーシステムの実現へ向けた一歩となるだろう。