地方みらい共創戦略始動
2025-05-29 18:19:20

農林水産省が描く「地方みらい共創戦略」で、農山漁村は新たな「目的地」へ進化する

農林水産省が描く未来の地方像:持続可能な地域活性化の「道しるべ」



農林水産省は、副大臣を座長とする「地方みらい共創研究会」が慎重な議論を重ねた結果、令和7年5月28日に画期的な「地方みらい共創戦略」を取りまとめました。この戦略は、日本の農林水産地域を「地方創生2.0」へと導く羅針盤となることが期待されています。

「おいしく豊かで楽しい地方」が皆の目的地に



戦略の根底にあるのは、3月末に公表された「地方みらい共創に向けた緊急提言」で示されたビジョンです。それは、農林水産業が力強く発展し、若者や女性、そして国内外からの訪問者にとって魅力的な「目的地」となるような、「おいしく豊かで楽しい地方」の実現。このコンセプトこそが、戦略の核となっています。

「地方みらい共創戦略」は、この壮大な目標を達成するため、「グローバルとローカルの融合による成長(グローカル成長)」という視点を取り入れています。これは、世界の市場と地域の産業が直接結びつくことで、新たな経済的価値を生み出すことを意味します。さらに、都市部と地方の連携を強化し、これまで農林水産業との関わりが少なかった企業や団体との「共創」、すなわち「新結合」を促進することで、イノベーションを巻き起こし、日本全体の成長へと繋げることを目指しています。

7つの重点分野と新たな挑戦



戦略では、具体的な施策を推進するために、以下の7つの主要分野を掲げています。

農林水産業の付加価値向上
輸出の促進
里業(さとぎょう)の推進:豊かな農業地域の資源を活かした取り組み
森業(もりぎょう)の推進:森林の持つ環境保全や癒しの価値を活かした取り組み
海業(うみぎょう)の振興:海や水産地域の魅力を活かした取り組み
農福連携の推進
フードテックの推進

これらの分野横断的な連携を強化するために、「新結合」の取り組みが特に重視されています。具体的には、以下のような新たな試みが進められます。

地域レベルの官民共創拠点「農林水産 地方創生センター(仮称)」の形成: 農林水産業の付加価値向上を目指し、国と地方が連携して地域のハブとなる拠点を各地に設けます。第一号は今夏の立ち上げを目指しています。
「里業」推進のための「里業・食 みらい共創地域(仮称)」の形成: 田園地帯の地方創生を目指し、農泊地域と地方公共団体などが連携し、食を通じた新たな価値創造を追求します。
「森業」推進に向けた総合支援窓口の設置: 山の地方創生を後押しするため、総合的なサポート体制を整備し、民間団体との連携会議などを開催します。
* 「海業」推進における中間支援組織の活用: 海の地方創生のため、地域を支える中間支援組織が多様な主体と連携し、広域連携やインバウンド対応、さらには「ぎょしょく」(漁業と食)のような異分野連携を促進します。

これらの取り組みを支える基盤として、産官学金労言(産業界、行政、学術界、金融機関、労働団体、言論界)が一堂に会する「『農山漁村』経済・生活環境創生プラットフォーム」が設立されます。このプラットフォームでは、共創事例のモデル地域選定、実証実験、広域展開に加え、貢献した企業の表彰などが行われる予定です。

熟考された戦略策定プロセス



この戦略は、短期間で練り上げられたものではありません。令和6年12月23日に「地方みらい共創研究会」が立ち上げられ、令和7年3月21日には「地方みらい共創に向けた緊急提言」が公表されるなど、段階的に議論が深められてきました。戦略の最終的な取りまとめにあたっては、国内外の現地視察(ドイツでの視察も含む)を実施し、20を超える企業・団体・NPO等の有識者から多岐にわたるヒアリングが行われ、幅広い知見が取り入れられました。

「地方みらい共創戦略」は、単なる計画に留まらず、日本の豊かな農林水産地域が、新たな時代において持続的に輝き続けるための具体的な指針となるでしょう。地方が持つ無限の可能性を解き放ち、国内外から人々を惹きつける「目的地」へと変貌を遂げる日も近いかもしれません。


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