東レとT2による自動運転トラック実証実験
2025年9月16日、東レ株式会社と株式会社T2が連携して、自動運転トラックを利用した石油化学品輸送の実証実験を開始します。この取り組みは、関東と関西を結ぶ高速道路の一部区間において行われ、トラックドライバーの不足という現代の深刻な課題に対処することを目的としています。
実証実験の概要
実証実験の運行区間は、東名高速道路の綾瀬スマートIC(神奈川県)から新名神高速道路の茨木千提寺IC(大阪府)まで、およそ440キロメートルです。計画では、2025年9月16日から2026年4月までの間に4回実施される予定です。この実験では、T2の自動運転トラックを利用することで、持続可能な物流システムの構築を検証します。
物流業界の現状と課題
近年、トラックドライバーの数量不足は深刻な問題となっており、荷主や物流企業にとって運送業務の効率性が求められています。このような背景の中、東レとT2はより効率的で環境に優しい物流の実現を目指して、自動運転技術の導入を決定しました。この実証実験では、東レの製品であるABS樹脂「トヨラック」を運搬し、実際の商用利用に向けた第一歩を踏み出します。
自動運転技術の実力
T2は、2027年からのレベル4自動運転トラックによる幹線輸送の開始を見据え、2025年7月からはレベル2自動運転トラックを用いた商用運行を開始します。実証実験においても、運転手が乗車し監視する中でレベル2自動運転を実施します。これにより、幹線輸送において自動運転トラックの効率性や信頼性を確立し、将来的なレベル4の運行に向けた基盤を築くことを目指しています。
低炭素燃料の導入
本実証では、持続可能な物流構築に向けて、低炭素燃料の使用を拡大します。T2は、石油業界の7社と連携し、カーボンニュートラル燃料(CN燃料)の利用促進を目指します。具体的には、軽油にバイオディーゼル燃料を5%未満混ぜた「B5軽油」や、CO₂排出を実質的に100%削減可能な「リニューアブルディーゼル燃料」を使用する計画です。これらの燃料は、廃食油や廃動植物油脂を原料としており、環境への負担を軽減することが期待されています。
まとめと今後の展望
この取り組みは、東京都による「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」にも採択され、支援を受けながら進められます。実証の結果に基づいて、東レとT2はさらなる協業の可能性を検討し、自動運転トラックによる幹線輸送の実現に向けての取り組みを続けていく計画です。
今後の実証実験が成功を収めれば、自動運転トラックは物流業界に革命をもたらすかもしれません。持続可能な未来のために、両社の挑戦から目が離せません。