管理職の1on1実態調査
国の労働環境や人の価値観が変わる中で、企業の管理職に求められる役割は多様化しています。一方で、株式会社mentoが実施した「管理職の1on1実態調査」によると、直属の部下を持つ課長393名のうち、1on1を通じてキャリアについて「よく話せている」と回答したのはわずか35.6%にとどまっています。この数字は、今の管理職が抱える、部下とのコミュニケーションにおける課題を映し出しています。
調査の背景
最近、人的資本経営への注目が高まってきています。その一因として、転職市場の活性化や若者の価値観の多様化が挙げられ、「辞めない・育つ組織」を構築するために管理職の重要性が増しています。そのため、1on1のような対話の機会が必要とされていますが、実際に何が話され、何が語りづらいのかを明らかにする調査が極めて少ない状況でした。
1on1の実施頻度
調査結果では、1on1の実施頻度が「月1回」が最も多く33.6%、週1回以上の実施は10.2%に留まっています。対して8.4%が1on1を行っていないという結果も浮き彫りとなりました。これにより、月単位での対話が一般的であり、より頻繁なコミュニケーションは行われていないことが示されています。
1on1の目的
1on1の目的としては、「メンバーのパフォーマンスの向上」と「チームの目標達成」が共に47.8%という高い数値を示しており、続いて「メンバーの成長・自走」が42.2%という結果でした。これにより、管理職は効率的なチーム運営の一環として1on1を活用していることが分かります。しかし、実際に何が話されるかとなると多くの場合、業務の進捗や課題に限られることがほとんどです。
キャリアについての会話
特に注目が集まるのは、キャリアや将来展望に関する会話が、部下が「話したいのに話せていない」という状況が53.6%に達するという点です。この数字は、管理職がキャリアの話題を避けているのではなく、単に時間が取れずに進行しない結果を示しています。
業務の優先順位
調査では、管理職が「成果」を求められるあまり、「部下の育成・キャリア支援」が評価されづらい現状も浮かび上がっています。57.5%の管理職が「チーム成果を出すこと」が最も評価されると回答しており、成果優先の実態が鮮明です。業務の中でも、多くの時間が事務作業や会議に奪われている現状が問題とされ、特に「社内向けの報告や資料作成」が36.1%と高い割合を占めます。
上司・部下の関係性
1on1を頻繁に行う管理職は、上司と部下の関係性も高まっており、1on1が質の高い関係を構築する一助となっていることが分かります。また、週1回以上実施している管理職のスコアは4.5点と高く、「実施していない」管理職の3.8点と比較しても顕著に異なります。このことは、1on1が単なる業務としてではなく、部下との関係性を育むツールであることを示しています。
結論
この調査結果から、管理職が抱える業務の負担と、部下とのコミュニケーションの必要性との矛盾が浮かび上がりました。時間を確保することが対話の質を保証することにはならず、むしろ質の高いコミュニケーションを如何にして確保するかが重要な課題です。今後、mentoは管理職が効率的にコミュニケーションを行う支援を行っていくことで、新たな組織文化の形成に寄与していきたいと考えています。