地方から持続可能な漁業を目指す「受注漁」
近年、持続可能な漁業が求められる中で、新たな漁業の形として「受注漁」が注目を集めています。このシステムは、オンラインストアやインスタグラムを通じて事前に消費者から魚を注文し、必要な魚だけを漁獲するというものです。余剰の魚は海に戻され、水産資源の保護につながります。
受注漁の実践
邦美丸が展開する受注漁は、2022年春から試験的に開始されました。この手法がどのように漁業界を変え、人々の生活に影響を及ぼすのかは非常に興味深いテーマです。顧客との距離が縮まり、漁業者が自らの魚を正当に評価される機会が増えることが期待されています。具体的な注文方法は、以下のサービスを通じて行われています。
1.
インスタグラム
2.
ポケットマルシェ
オンラインの利点を生かしながら、地元で漁獲された新鮮な魚が直接消費者に届くという新しい流れが生まれています。
現状の漁業の課題
しかし、伝統的な漁業には多くの課題が山積しています。水産庁のデータによれば、漁業就業者数は前年よりも減少しており、特に高齢化が進んでいます。多くの漁師が高齢者となり、後継者不足が深刻な状況です。これにより、漁業は「儲からない産業」とされ、漁業者が減少し、美味しい魚が消費者の食卓に届かなくなる恐れがあります。
具体的な課題としては以下があります。
- - 水揚げ量に伴う取引価格の変動
- - 乱獲や水産資源の枯渇
- - 漁業者の収入不安定
- - 燃料コストの高騰
このような厳しい現状の中、邦美丸は受注漁を通じて新たな可能性を模索しています。
受注漁のメリット
受注漁の開始以来、邦美丸ではさまざまなメリットが実感されています。
1.
ワークライフバランスの向上:受注漁を導入する前は、操業時間が約14時間でしたが、現在はその半分の約6時間に短縮されました。これにより、家族との時間やプライベートが充実しています。
2.
安定した売上:顧客と直接取引することで、仲卸業者を通さずに済み、売上が倍増したとのことです。これにより、漁業経営の不安定さが減少しました。
3.
SDGsへの貢献:持続可能な環境を守るため、余剰魚を海に戻すことが「水産資源を守る」ことにつながるという点でも、多くの支持を集めています。この新しいアプローチは、食品ロスの削減や、燃料消費量の低減にも寄与しています。
クラウドファンディングについて
現在、邦美丸では、クラウドファンディングプラットフォーム「CAMPFIRE」を通じて、受注漁を広く知ってもらうプロジェクトを進行中です。リターン品には、新鮮な魚が詰まった鮮魚BOXが用意されており、注文者は直接漁師の活動を支援することができます。この取り組みの中で、受注漁が新しい漁業の一つとして根付くことを期待しています。
会社概要
邦美丸は、2009年に設立され、岡山県玉野市を拠点とする漁業会社です。受注漁を通じて新しい漁業スタイルを提供し、持続可能な海の資源管理に努めています。公式サイト(
kunimimaru.com)やインスタグラムを通じて最新情報を発信しています。
今後、受注漁が新しい漁業の形を作り出し、漁師や消費者にとって持続可能な選択肢となることが期待されます。