ダイバーの命を守る新たな試み
海洋環境の美しさは、多くの人々にとって魅力的な体験を提供しますが、その一方で危険も伴います。そこで、海洋テックのスタートアップである株式会社xerograv.(ゼログラヴ)は、ダイバーの安全を向上させる新たな技術を開発しました。この取り組みにより、ダイビング中の事故を予防し、迅速な救助体制を構築することを目指しています。
実証実験の概要
実証実験は2025年3月7日(予備日:3月14日)に静岡県伊東市の指定ダイビングポイントで行われます。この実験では、最新テクノロジーを駆使して、事故防止策および救助オペレーションの有効性を検証します。特に、リアルタイムでの位置情報共有に重点を置いたシナリオが企画されています。
ダイビングツーリズムと水難事故の現状
世界的に見られるダイビングツーリズムの流行に伴い、2023年の市場規模は41億1,000万米ドルに達すると予想されています。しかし、水難事故も増加傾向にあり、日本の令和5年度の水難事故での死亡率は44.6%と、道路交通事故の0.95%と比較しても高い数字です。
多くのダイバーが経験する問題としては、潮流による漂流、健康状態の急変、位置情報の特定の困難さが挙げられています。現在のダイビング機器にはGPS機能が搭載されているものもありますが、一方向の通信のみでは、他者への位置情報の伝達が難しいのが現状です。
xerograv.の斬新な技術
xerograv.は、ウェアラブルデバイスを使用して、ダイバーのリアルタイム位置情報をクラウドに送信します。この情報は、管制塔が確認できるため、迅速な事故防止と救助が可能となります。さらに、離れた場所にいる家族や友人にも安全状況を伝えることができます。
実施されるシナリオ
実証実験では、以下の2つのシナリオに基づいて技術の有効性を検証します。
1.
水面漂流救助シナリオ
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想定事故:ダイバーが潮流に流され、漂流するケース。
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技術活用:xerograv.のアプリと連携したApple Watch Ultraを用いて位置を特定し、迅速な救助を実施。
2.
水中遭難救助シナリオ
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想定事故:ダイバーが水中で体調不良を起こすケース。
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技術活用:水中通信技術によりSOS信号を発信し、正確な位置を特定後、救助隊による対応。
将来への展望
この実証実験を通じて、ダイバーの位置情報をリアルタイムで可視化するシステムの構築が期待されています。最終的には、職業ダイバーやレクリエーショナルダイバーに対して、より安全に海洋を楽しむためのインフラと技術を提供することを目指しています。
さらに、海洋探査や水中建設といった新しい海洋インフラ産業への貢献も視野に入れています。2025年には、新技術を用いたアプリケーション1.0のリリースが予定されており、多くの人々にその恩恵がもたらされることでしょう。
株式会社xerograv.について
株式会社xerograv.は、海を愛する人々の命を守ることを目的として、ウェアラブルデバイスを活用した技術開発に取り組む企業です。この技術は、水難事故のリスクを軽減し、安心してダイビングやサーフィンなどの海洋レジャーを楽しむための強力なパートナーとなるでしょう。