昭和の商店文化を再発見
2025年12月26日、株式会社トゥーヴァージンズから新装改訂版の書籍『看板建築 昭和の商店と暮らし』がリリースされます。本書は、2019年に初めて登場した『看板建築』を改訂したもので、昭和の個人商店と人々の暮らしに焦点を当てています。特に、関東大震災の復興期に多くの看板建築が生まれた背景を持つこの本は、昭和の商業文化が現在にどのように影響を与えているのかを示してくれます。
看板建築とは?
本書では、建築家藤森照信氏が命名した「看板建築」という形式が紹介されています。これは、店舗と住宅機能を兼ね備えた建物で、木造2〜3階建てのものが多く、正面部分を銅板やモルタルで装飾するスタイルが特徴です。このユニークな建築様式は、多くの人々の生活の中で、商店と住居が密接に結びついている様子を表しています。
書籍の内容
新装版では、「看板建築」が盛んな地域の家主たちへのインタビューも掲載されており、彼らの生業と暮らしがどのように結びついているかを掘り下げています。具体的には、秩父の「パリー食堂」や横須賀の「みどり屋」など11軒の商店の物語が語られ、商業文化の魅力が色濃く描かれています。これらの家主たちから得たエピソードは、当時の生活や人々の思いを知る手助けとなってくれるでしょう。
収録店舗の一部
1.
夜の街に華やいだ洋食店 パリー食堂(秩父)
2.
祭り文化を伝える呉服店 みどり屋(横須賀)
3.
最先端技術を支える刷毛屋 江戸屋(日本橋)
4.
築地から世界へ広がる食器店 一不二(築地)
5.
愛された老舗喫茶店 万定フルーツパーラー(閉業)
6.
仕立て屋を支える服飾資材店 岡昌裏地ボタン店(神田)
7.
建築に惹かれる歯科医院 山本歯科医院(神田)
8.
会いに行きたくなる理容店 藤太軒理容所(西多摩)
9.
参道で時を刻む複合商業施設 湯浅物産館(鎌倉)
10.
光が差し込む写真館 星野写真館(鎌倉)
11.
心と体をゆるめる街の銭湯 たから湯(秩父)
懐かしき昭和のアーカイブ
新装版では、現存する看板建築や、既に閉業・解体された店舗のアーカイブも充実しており、昭和の生活を感じることができます。写真を通して失われた風景を振り返り、当時の人々の思いを再確認することができるのです。
コラムとひと息
さらに、看板建築の装飾や歴史に関するコラムも盛り込まれており、どのようにして今の景観が形作られてきたかを学ぶことができます。これはただの建築物ではなく、そこに住む人々の歴史でもあることを感じさせてくれるでしょう。
この新装改訂版の発行により、昭和の商店文化を再評価する機会が増えることを願っています。
書籍情報
- - 書名: 新装改訂版 看板建築 昭和の商店と暮らし
- - 監修: 萩野正和
- - 定価: 2400円(本体2200円+税)
- - 仕様: A5版、208ページ、オールカラー
- - ISBN: 978-4-86791-069-6
- - 発売日: 2025年12月26日
この本を手に取ることで、あなたの視野が広がり、昭和という時代の商業文化に対する理解が深まること間違いなしです。