2025年度「国際交流基金賞」受賞者が決定
2025年度の「国際交流基金賞」の受賞者が発表されました。今回の受賞者には、カナダの映画監督マーティ・グロス氏と韓国の日本語教育の権威鄭起永(ジョン・ギヨン)氏が選ばれました。この賞は、日本と海外の相互理解を促進するために、文化活動を通じて顕著な貢献をした個人または団体に与えられます。
受賞者の紹介
マーティ・グロス氏(カナダ)
カナダ出身のマーティ・グロス氏は、映画監督、アーキビスト、そしてプロデューサーとして活躍しています。彼は、自らの作品を通じて日本の伝統芸能や民藝運動を広く紹介してきました。特に、1980年に監督した映像作品『文楽 冥途の飛脚』は、文楽を海外に知ってもらう上で重要な役割を果たしました。この作品は、魅力的なカメラワークと的確な英語字幕により、国際的な観客に文楽の魅力を伝えています。
彼はまた、北米における日本映画の普及にも努め、歴史的な証言を記録する活動を続けています。現在は「民藝運動フィルムアーカイブ」を手がけ、1930年代から70年代にかけて撮影された映像を発掘・修復しています。これにより、民藝運動の精神を現代に蘇らせることに貢献しています。
鄭 起永(ジョン・ギヨン)氏(韓国)
一方、鄭起永氏は釜山外国語大学らか日本語教育をリードしている教育者であり、専攻の発展に顕著な成果を残しています。彼は日本語融合学部を創設し、三つの専門専攻を設置、1000名を超える学生が学ぶ環境を整えました。また、ICT技術を積極的に取り入れるなど、日本語教育の手法にも革新をもたらしています。
さらに、彼の取り組みは教育の枠を超え、環境保全活動や文化交流事業にも広がっています。韓国と日本の学生たちが協力して行う対馬での清掃活動や、日韓の文化交流団体の運営もその一環です。鄭氏は国際的な理解と友好を深めるため、多方面にわたる活動を展開し、その業績が高く評価されています。
授賞式の詳細
授賞式は、10月22日(水)に開催される予定です。この機会に、受賞者二人の功績と共に、文化交流の重要性を再認識したいものです。両者の今後のさらなる活躍が期待されています。
国際交流基金賞は、1973年に設立され、以来多くの受賞者を輩出してきました。文化を通じた国際理解の促進に寄与する受賞者が選ばれることには、社会全体が文化の力を見直すきっかけとなることを期待します。