アルミニウム車体のリサイクルに向けた共同研究の開始
東京都に本社を置く東京地下鉄株式会社(以下、東京メトロ)は、メトロ車両株式会社、ホンダトレーディング、そして日本総合リサイクル、日軽金アクト、川崎車両、住江工業との連携により、廃車となるアルミニウム車体のリサイクルに関する共同研究を開始することが発表されました。これは、「アルミニウム車体の水平リサイクルに関する共同研究の基本方針に係る覚書」を締結する形で実現しました。
1. 背景
東京メトロは、約2,700両以上の車両を保有しています。すべての車両はアルミニウム合金の車体を採用しており、これにより軽量化やエネルギー効率の向上が図られています。しかし、アルミニウムの製造には大量のエネルギーが必要で、CO2の排出量も多くなるため、環境への負荷が大きな問題となっています。過去には廃車車両から発生するアルミニウム材のカスケードリサイクルを行っていましたが、これには不純物除去が困難という技術的な課題がありました。
今回の共同研究の目的は、廃車車両から回収したアルミニウムの純度を保ちながら、リサイクルを行う「水平リサイクル」にシフトすることです。これにより、より高い純度のアルミニウムを再利用でき、将来的には車両構体や内装部品へ循環利用することが可能になります。
2. 共同研究の内容
この共同研究は、2024年度から2027年度にかけて実施されます。具体的には、廃車となる東京メトロ保有車両のアルミニウム材をダウングレードさせることなく、純度を維持したままリサイクルを行うための技術的プロセスの構築を目指しています。これにより、アルミニウムのリサイクル効率を高め、環境への影響を低減させることを目的としています。
アルミニウムリサイクルの効果
リサイクルされたアルミニウムは、新地金製造時に比べて必要エネルギーの約3.4%、CO2排出量は約2.8%に抑えられるとされています。これにより、将来的には鉄道業界全体のCO2排出量を大幅に削減できる見込みです。
3. 環境負荷の軽減と持続可能な社会への貢献
この共同研究を通じて、鉄道業界は持続可能な社会を目指す取り組みをさらに加速します。東京メトロは、環境負荷を低減し、次世代への社会貢献を果たすため、引き続き技術革新と環境保護に力を入れていく意向を示しています。今後、他社との協力を強化することで、さらなるリサイクル技術の向上および新たな環境ビジネスの創出につなげていくと期待されています。