映像伝送技術の新たな進化
近年、放送局や報道機関において、高品質な映像を迅速に伝送するニーズが高まっています。特に注目を集めているのが、コストパフォーマンスに優れた衛星通信サービスである『Starlink』です。このサービスは通信速度やグローバルなカバレッジにおいて非常に優れていることから、映像業界での導入が進んでいます。
今年リリースされたStarlink Miniの登場により、さらなる機動性が加わり、放送業界でのニーズに応えることが期待されています。しかし、Starlinkを利用した映像伝送には、衛星の切り替えによって通信が不安定になるという課題があります。この問題に対処するため、TVU Networksは「Starlinkモード」の開発を発表しました。
TVU Oneとは何か?
TVU Oneは、複数のモバイル回線(5G/4G LTE/Wi-Fi)を束ねて高品質な映像伝送を実現するマルチSIM対応の映像伝送トランスミッターです。この機器には以下のような特長があります:
- - 低遅延性能:業界最短の0.3秒で映像を伝送。
- - ISX機能:従来のIS+よりもさらに性能が向上し、回線状況が不安定な環境でも映像伝送が安定しています。
- - 双方向コミュニケーション:遠隔地との音声・映像の通信を円滑に実現。
- - マルチSIMルーター機能:映像伝送だけでなく、ルーター機能も搭載。
- - ボンディングVPN:L2/L3 VPNをボンディングした状態で構築可能。
Starlinkとは?
StarlinkはSpaceXが提供する、低軌道衛星を利用したインターネット通信サービスです。以下の特長を持っています:
- - 広範囲なカバレッジ:地理的な制約が少なく、リモート地域でもインターネット接続が可能。
- - 低遅延通信:従来の静止軌道衛星よりも低遅延での通信が可能。
- - 高速インターネット:一般的な固定回線と同等の速度を提供。
- - コスト効率:月額1万円程度で利用可能。
しかし、Starlinkを用いた映像伝送には、衛星の切り替え時に速度が一時的に低下する問題があり、これが映像の品質に影響を与えることがあります。この課題を克服するために、TVU Networksは「Starlinkモード」の開発に取り組んでいます。
Starlinkモードの機能と利点
Starlinkモードは、Starlinkを活用した映像伝送を最適化するための専用通信モードです。主な機能は以下の通りです:
- - パケット補正機能:TVU独自のFEC技術により、衛星の切り替え時に生じる通信遅延やパケットロスを最小限に抑制。
- - ビットレート調整機能:通信状況に応じたリアルタイムなビットレート最適化を実施。
- - 自動回復機能:通信不安定時のリカバリー動作を最適化。
これにより、Starlinkを用いた映像伝送の安定性が大幅に向上し、過酷な環境からのライブ中継でも信頼性の高い映像伝送が可能です。
検証実験と結果
Starlinkモードの有効性を確認するため、実験が行われました。実験は東京臨海広域防災公園で実施され、59.94 HD-SDIフォーマットの映像が60分間伝送されました。
結果、標準モードでは通信帯域が不安定になることがありましたが、Starlinkモードは通信の途絶がほとんどなく、映像伝送が安定して行われました。 これにより、Starlinkを使用した映像伝送が実用化される可能性が確認されたのです。
まとめ
TVUのStarlinkモードは、衛星通信技術を活用した映像伝送の新たな選択肢として注目されています。災害現場や遠隔地での報道取材において、高品質な映像伝送が実現することで、放送業界における可能性が広がります。今後の展開にも期待が寄せられています。
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