進化する生物多様性保全に向けた新たな一歩
滋賀県での新たな挑戦として、生物多様性を守り、経済との調和を目指す「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の開発プロジェクトが始動しました。このプロジェクトは、龍谷大学、公益財団法人東近江三方よし基金、株式会社滋賀銀行の連携によって実現し、地域に根差した持続可能な発展を促進します。
ネイチャーポジティブの重要性
世界的な潮流の一つである「ネイチャーポジティブ」な社会の実現には、生態系の健全性を確保し、生物多様性の保全が不可欠です。この概念は、生態系が持つ機能を理解し、そこからの恩恵を持続的に享受するという新しい視点をもたらします。この活動は、地域の固有性を重視し、ローカルな生物多様性を適切に評価する「自然のものさし」が求められます。
BCCIの必要性と背景
現在、世界の多くの国々で生物多様性の損失に立ち向かう取り組みが進行中です。しかし、日本を含め、多くの国々では、生物多様性に関連する明確な指標が不足しているため、その進捗を測定するのに苦労しています。特に地域ごとに生物多様性の状況が異なるため、地域に適した柔軟な指標の設計が必要です。与えられた地域の特性を反映した新たな「生物多様性保全総合指数(BCCI)」の開発が急務と考えられています。
プロジェクトの三ステップ
本プロジェクトは、以下の三つのステップを通じて推進されます。
1.
指標要件の設計
利用場面に応じた実用的な指標要件を整理し、住民と企業が納得できる指標イメージを構築します。
2.
基盤情報の収集と指数の開発
環境DNA調査などを通じて、生態系の健全性を示す多面的なデータを収集し、既存のデータと統合します。
3.
経済活動での実証と評価
滋賀銀行の環境対応型金融商品の開発や地域事業との連携を通じて、実際の経済活動での指標の適用性を評価し、洗練された指標を作り上げます。
各機関の役割
このプロジェクトには、専門的な視点を持ち寄るために、龍谷大学が生物多様性の研究を推進します。公益財団法人東近江三方よし基金は地域課題解決に取り組んでおり、滋賀銀行は環境分野での金融商品開発においてリーダーシップを発揮しています。
これらの機関が連携することで、地域に適した生物多様性指標が策定され、ネイチャーポジティブ社会の実現に向けた重要な一歩となることが期待されています。
今後の展望
2025年から2026年にかけて基礎情報の整理と収集体制の構築が行われ、最終的にはBCCIの実装が進む予定です。この取り組みは、地域の環境保全を含め、経済との共生を目指した新たなドライビングフォースとなるでしょう。滋賀県から始まるこのプロジェクトが、他地域のモデルケースとなり、持続可能な社会実現への道を切り拓くことを願っています。
自然の仕事を地域経済の力に変えるためのカギは、地域の生物多様性を評価し、行動に結びつけることにあります。私たちがこの変革の波に乗り、次世代へとつなぐための準備を整えているのです。