アットホーム株式会社は、不動産調査のためのGISサービス「不動産データプロ」に、新たに賃料や空室率を推計できる機能を追加しました。この機能は、賃貸管理や不動産取引を行う事業者にとって、業務の効率化や提案能力の向上に寄与することが期待されています。
今回の「賃料・空室率推計機能」では、調査対象の地点に基づいて推計賃料や空室率を算出し、賃料の収入シミュレーションを行うことが可能です。この新機能は、アットホームが日本リスク・データ・バンクと共同で開発したもので、市場における不動産関連データの効果的な利用を目指しています。
機能概要
「賃料・空室率推計機能」では四つの主要な不動産関連指標が提供されます。これにより、ユーザーは賃料の改定や物件の将来リスクの検討をスムーズに行えるようになります。
1.
推計賃料: ユーザーが入力した条件に基づき、アットホームの不動産情報ネットワークから取得した過去の賃貸情報を元に推定された賃料を表示します。
2.
推計空室率: 調査エリアにおける建物の構造や築年数、面積に応じて空室率を算出し、町丁目単位で表示します。
3.
賃料下落率: 年ごとの賃料の下落具合を示し、過去のデータを分析して算出されています。
4.
賃料変更発生率: 賃料の変動がどの程度発生するかの割合を表示します。
これらの情報を基に、賃料の収入シミュレーションも行えるため、様々な不動産関連の業務がより効率的に進められます。
具体的な利用シーン
不動産業界では、賃貸管理会社、建設会社、買取・再販会社、売買仲介会社など、様々な業種がこの機能を活用することができます。例えば、賃貸管理会社は、賃料改定の根拠資料としてオーナーに提供したり、収入計画に基づく将来リスクの共有を行うことができます。
建設会社では、建設予定地の空室率を確認し、土地の取得について判断するためのデータを得ることができ、買取・再販会社は、物件の賃料を査定したり、空室率を考慮した収益シミュレーションが可能になります。また、売買仲介会社にとっては、物件の投資ポテンシャルを提示する際に非常に有用です。
開発の背景
アットホームがこの機能の開発に着手した背景には、不動産業界における情報の収集や解析が難しかったという実情があります。特に、狭いエリアにおける空室率など、詳細なデータを把握する手段が限られていたため、2016年から日本リスク・データ・バンクと共同研究が開始されました。その研究が実を結び、2021年にはサービス化され、今回の機能追加に至ったのです。
近年の少子高齢化や相続案件の増加、また2024年からの相続登記義務化といった社会背景を踏まえ、今後益々不動産業へのニーズが高まることが予想されます。アットホームは、今後も不動産関連事業者のデジタルトランスフォーメーションを支援するための取り組みを強化していく方針です。
このように、「不動産データプロ」の新機能は、業界全体において業務を進化させる強力なツールになることが期待されています。