東海コープが実現したデジタル変革
生活協同組合連合会の東海コープ事業連合は、2023年5月にデジタルビジネスの可観測性プラットフォームであるNew Relicを導入しました。この取り組みは、同協会が運営する宅配事業の観測の効率化を目的としており、結果的にシステム障害に対する対応工数を最大20%削減する成果をあげています。
1. 導入の背景
東海コープは、岐阜・愛知・三重の3県で活動する生活協同組合が集まった事業連帯組織で、100万人以上の組合員に週に1回、商品を届ける宅配事業を展開しています。組合員にとって「未来につながるあんしん生活」を提供するため、様々なサービスを展開してきましたが、特にオンライン注文のシステム「e-フレンズ」のパフォーマンス維持が重要課題となっていました。
2022年にはこのシステムが大規模に更新され、モバイルアプリも新たに導入されました。この時期、東海コープは組合員の年齢層を若返らせると同時に、EC利用の率を向上させるためのデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進したいと考えていました。そのためには、同システムの安定した運用が必要不可欠でした。
2. 現状の課題
旧来の監視システムでは、サーバーやエラーの発生をある程度捕捉できていましたが、エンドユーザーである組合員の端末上で発生する問題に対しては無力でした。トラブルは組合員からの指摘があるまで認識されず、原因の特定には多くの時間がかかるため、問題の早期解決が困難でした。また、配送システムも、情報更新が適切に行われずミスにつながる事例が見られました。
3. New Relicの導入効果
New Relicを導入した結果、トラブルの発見から原因調査までの工数が最大20%削減され、迅速な対応が可能となりました。具体的には、以前は組合員からの問い合わせを受けてから対応する形でしたが、New Relicのダッシュボードを通じて、問題を予め察知できるようになりました。特にピーク時にトラブルが発生しやすい点を重点的に監視することで、トラブルの事前察知が向上しています。
さらに、開発プロセスにおいてもNew Relicが活用されており、機能リリース前には必ず最終チェックを行うことで、障害を防ぐ取り組みがなされています。
4. 顧客満足度の向上
安定したシステム運用により、e-フレンズでのキャンペーンが毎日実施可能となり、組合員の満足度も大きく向上しました。以前はアクセス集中で表示不具合があったものの、現在では安心してサービスを利用できる状況が整っています。
5. 今後の展望
今後は、New Relicによる観測範囲を更に広げる予定であり、すべての業務プロセスを可視化することで、さらに高品質なサービス提供を目指します。少ないリソースで効率的な運営が実現できると期待されています。
結論
New Relicの導入により、東海コープは宅配事業の効率化を進め、顧客満足度を高める術を手にしました。今後の展開にも目が離せません。
生活協同組合連合会 東海コープ事業連合の奥村彰規副本部長は、「New Relicによる可視性が高まり、サービス品質向上につながっていると実感しています」とコメントしています。これからも、組合員のEC化率向上に寄与する活動が期待されています。