京都芸術大学とアストラゼネカが治験をわかりやすくするプロジェクトを始動

京都芸術大学とアストラゼネカ、治験を分かりやすく

京都芸術大学キャラクターデザイン学科と製薬企業アストラゼネカ株式会社が共同で、治験に関する情報をよりわかりやすく伝えるプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、2025年春から本格的にスタートし、現在は動画とマンガの制作が進められています。

治験の意義と課題

治験とは、新薬の有効性や安全性を確認するために患者に参加してもらう試験ですが、その内容は専門的で難解です。特に、治験で使用される同意説明文書には、専門用語が多く含まれているため、患者にとっては理解が難しいという問題があります。このプロジェクトでは、学生たちがその難しさを克服し、患者の立場に寄り添ったアプローチで治験の理解を促進することが目的です。

取り組み内容

このプロジェクトには二つの主要な取り組みがあります。

1. 治験導入動画の制作

キャラクターデザイン学科の授業内で、治験の基本を説明する動画を制作します。学生たちは定期的にプレゼンテーションを行い、実際に治験に関わるCRCやアストラゼネカの社員からの指導を受けながら、動画の完成を目指します。この成果物は、11月の学科展で発表予定です。

2. 同意説明文書向けマンガ・イラストの制作

また、課外活動としてマンガやイラストも制作しています。これらは、治験に関する情報を視覚的に捉えやすくするためのものです。テーマには「補償制度」や「有害事象」などが含まれ、学生たちはその表現の工夫に取り組んでいます。意思疎通を図るために、医療現場のリアルな声を反映した内容を目指しています。

アストラゼネカの期待

アストラゼネカ株式会社研究開発本部の亀尾祐子氏は、今回のコラボレーションで「治験をもっとわかりやすく、見つけやすく、参加しやすく」するために取り組んでいると述べています。柔軟な思考を持つ学生と連携することで、患者や家族の不安に寄り添う情報提供を実現できると期待しています。

京都芸術大学の取り組み

京都芸術大学では、芸術を通じた社会貢献を重視しており、学生たちは多様な社会課題にアートとデザインで挑んでいます。学校の教育目標には、学生を「社会性を備えた表現者」として育てることが掲げられており、今回のプロジェクトもその一環として位置付けられています。

まとめ

このプロジェクトは、学生たちの創造力を活かして医療に貢献する新しい試みです。治験という医療分野において、患者に寄り添った情報提供の確立を目指す学生たちの姿勢に、今後の社会への期待が寄せられています。動画とマンガが完成する今秋、その成果が広く用いられることで、治験の理解がより一層深まることを目指しています。