ブラザー販売とNTTが進める次世代型コンタクトセンターの成果
はじめに
2024年5月、ブラザー販売株式会社と株式会社NTTマーケティングアクトProCX、さらに株式会社ビジョナリーエンジンが提携し、「次世代型コンタクトセンター構想」に基づくプロジェクトが始動しました。本プロジェクトでは、生成AIを活用した業務効率化を目指し、その成果が段階的に現れています。今回は、画期的な変革を進めるこのプロジェクトの進捗状況と今後の展望について詳しく解説します。
プロジェクトの背景
ブラザー販売は「At your side.」をスローガンに、顧客の声を製品やサービスに反映する努力を続けてきました。しかし、労働人口の減少、ひいては人件費の高騰、さらにデジタルシフトの進展に伴い、持続可能なコンタクトセンターの構築が急務となっていました。この問題を解決するべく、NTTとビジョナリーエンジンは協力して中期コンタクトセンター戦略の策定とその実施をサポートしてきました。
プロジェクトのフェーズ
本プロジェクトは、戦略の策定から実行支援、定着化に至るまでの4つのフェーズに分かれています。各フェーズは以下の通りです。
Phase 1: 戦略・計画策定
まず、ブラザー販売のビジョンとマーケットに対する解析を行い、生成AIを活用するストラテジーを策定しました。この段階では、課題抽出やユースケースの特定が行われ、効率的な導入計画が確立されました。
Phase 2: 実行支援(PoC検証)
次に、具体的なユースケースに基づいてプロトタイプを作成し、試験運用を実施しました。この段階では、応対時間を短縮するためのナレッジ検索AIや、自動要約AIを導入し、その効果を検証しました。
Phase 3: 導入支援・定着支援
生成AIのシリーズを構築し、コンタクトセンターでの利用体制を整えました。新しい業務ルールの策定も行い、チームのトレーニングを実施することで、新技術の導入をスムーズに進めています。
Phase 4: 更なる拡張
現在進行中のPhase 4では、全ての拠点へのAI導入を目指してさらなる拡張が図られています。具体的には、ナレッジ検索の対象を拡大し、自動応対やVOC分析、FAQの自動生成など、他の業務領域にも生成AIを活用する方針を整えています。
得られた成果
このプロジェクトにおいては、生成AIを導入することにより、オペレーターの業務効率が向上しました。例えば、応対完了後の後処理時間が約270秒から180秒へと短縮され、オペレーターはより多くの時間をお客様との質の高い接点に注力できるようになりました。これにより、業務負担が軽減され、顧客満足度の向上が期待されています。
今後の展望
ブラザー販売は、まずはPhase4を通じてコンタクトセンターの更なる効率化と高度化を図ります。特に、AIが提供する情報と人によるサポートの融合を目指した「ハイブリッドCX」が重要視されており、顧客と直接対話するオペレーターによる価値提供を強化していく方針です。これにより、企業全体における顧客エンゲージメントや従業員エンゲージメントを高める力を高めることが期待されます。
このプロジェクトは、生成AIの導入を単なるコスト削減や業務効率化にとどまらせず、顧客体験を向上させるための重要なステップであることが示されており、これからの展開が非常に楽しみです。
まとめ
「次世代型コンタクトセンター構想」は、顧客のニーズに応じたサービスを提供するべく、生成AIを効果的に活用しています。今後の展開、及びその成果に注目が集まっています。ブラザー販売とNTTは今後も協力し続け、より良い顧客体験の提供に努めるでしょう。