ナノミストテクノロジーズ株式会社の新たな挑戦
最近、理化学研究所が主導する研究成果最適展開支援プログラム(A-STEP)において、ナノミストテクノロジーズ株式会社に対する開発支援が決定されました。ここでは、同社の新しい環境技術である超音波霧化分離装置の開発についてお伝えします。
1. 開発の背景
ナノミストテクノロジーズは、徳島県鳴門市を拠点にした企業で、霧化分離装置やCO2吸収装置の開発・製造・販売に携わっています。最近の製造プロセスでは、液体混合物の分離や濃縮が求められていますが、従来の方法である蒸発や蒸留は、多くのエネルギーを消費し、温室効果ガスを排出するため、環境に負担をかけています。このため、より環境に優しい新技術が必要とされています。
2. 超音波霧化技術
ナノミストテクノロジーズは、超音波振動子を使用して液体を霧化する技術を開発しました。この技術により、数マイクロメートルのミストを生成し、送風を利用してこのミストを分離できます。加熱や加圧が不要という特徴から、より低コストに Environmental負荷を減らす可能性があります。
3. 共同研究と支援制度
ナノミストテクノロジーズは、徳島大学の佐々木准教授と提携し、超音波振動子の劣化を遠隔で検出できるシステムを開発しました。この技術により、霧化効率を維持し、安定した装置の稼働が可能となりました。A-STEPによる支援を受けて、同社は今後、量産化に向けた生産技術開発を進める計画です。
4. 期待される成果
本開発により、超音波霧化分離装置のコスト削減や生産の効率化が進みます。これにより、製造プロセスにおける溶剤の再利用、産業廃液やメタン発酵消化液からの有価物の回収、排水処理における効果的な減容や不要物の除去が期待されます。また、最終的にはCO2吸着による環境への貢献も期待されています。
5. A-STEPの概要
A-STEPは、大学などの研究成果を社会に実装するための支援制度です。最大で5億円の開発費が貸し付けられるほか、返済条件が魅力的です。返済は無利子で、開発終了後10年以内に行うことが求められ、B評価以上で評価されると返済猶予も可能です。ナノミストテクノロジーズはこの制度を活用し、今後さらなる研究開発に邁進することでしょう。
まとめ
ナノミストテクノロジーズの取り組みは、環境問題への対処だけでなく、産業界における効率化を図る重要な一歩です。超音波霧化分離装置が実用化されることで、多くの業界が恩恵を受けることになるでしょう。今後の展開に目が離せません。