アークエッジ・スペースとJAXAの新たな挑戦
宇宙開発は急速に進化している中、アークエッジ・スペースが国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)と手を組み、月測位システム(LNSS)の定常運用サービスに向けたフィージビリティ・スタディに選ばれました。この契約は2024年11月20日に締結され、今後の月面ビジネスおよび探査に向けた重要なステップとなります。
月面での測位精度向上を目指す
このフィージビリティ・スタディの目的は、2030年代前半に南極域におけるフルオペレーショナルキャパビリティ(FOC)の開始を目指し、さらなる月測位精度の高精度化を図ることです。具体的には、各国との相互運用性を確保し、月探査の加速化および月面ビジネスの発展に寄与できる実用的な測位サービスの運用を目指します。
現在、NASAやESAと共同で月通信および測位の国際フレームワーク「LunaNet」が進められており、各国でGNSSのような測位衛星システム構築の動きが加速しています。日本のLNSSもこの取り組みの一環であり、月面のユーザーには初期段階から測位サービスが提供される予定です。
月面活動の商業化に向けた土台作り
アルテミス計画などの月面活動の活発化により、月面における人類の生活圏や経済圏が拡大しています。これに伴い、様々なビジネスチャンスが生まれ、月面産業の形成が期待されています。月面活動においては、地上と同様に測位や通信といった基礎インフラが必要不可欠であり、月測位サービスへのニーズが高まると見込まれています。
本スタディでは、従来の実証ミッションの方法に加えて、搬送波位相の時間差分法(TDCP)や地上局による観測、南極域ビーコンからの測位信号の使用、さらには光学観測を追加し、LNSS衛星の軌道精度を向上させることが試みられます。これにより、より高精度な月測位が実現される見込みです。
東京大学との共同研究
本検討の一部は国立大学法人東京大学との共同研究として進められます。これにより、研究の幅が広がり、より実用的かつ有効な測位システムの開発が期待されます。
アークエッジ・スペースについて
アークエッジ・スペースは、宇宙関連スタートアップとして超小型衛星の設計や量産、運用までを手がけています。「衛星を通じて人々により安全で豊かな未来を実現する」という理念のもと、地球観測や衛星通信、そして月面ビジネスに必要な基盤を構築していきます。
本社は東京都江東区に位置しており、代表取締役として福代孝良氏が指導しています。2021年度から2023年度にかけては、JAXAからの契約を受託し続けるなど、月面活動に向けた技術開発を進めています。今後のLNSS実証衛星の開発にも期待が寄せられています。
このように、アークエッジ・スペースは先進的な技術を駆使し、未来の月面活動および宇宙開発の可能性を拡げていく企業です。検討が進む月測位システムの進展から目が離せません。