グアーガム分解物がアルコール性脂肪肝に与える影響を解明！

グアーガム分解物がアルコール性脂肪肝に与える影響

最近の研究により、グアーガム分解物（Partially Hydrolyzed Guar Gum, PHGG）がアルコール性脂肪肝に対して持つ改善効果が注目されています。この研究は、三重大学、摂南大学、太陽化学株式会社の共同チームによって行われ、その結果が『Journal of Gastroenterology and Hepatology』に掲載されました。

研究の背景

慢性的な飲酒は、肝臓に対する深刻なリスク要因であり、アルコール性脂肪肝は、肝炎や肝硬変といった深刻な肝疾患の前触れとされています。したがって、早期の予防と改善が非常に重要です。近年、腸と肝臓の間に存在する腸-肝軸という概念が提唱され、腸内環境の改善が肝疾患の予防や進行抑制に役立つ可能性が示唆されています。

研究内容と結果

この研究では、アルコール性脂肪肝モデルマウスにPHGGを給餌し、エタノールを摂取させ、その後の肝臓と腸の変化を観察しました。結果として、PHGGを摂取したマウスでは、肝臓における脂肪の蓄積が抑制されることが確認されました。また、腸内細菌叢にも変化が見られ、有用なBifidobacteriumの数が増加し、逆に有害なStreptococcusの数は減少しました。さらに、短鎖脂肪酸の一つである酢酸が増加し、腸内環境が改善されたことが示されました。

特にBifidobacteriumの増加が、肝脂肪の蓄積抑制に寄与しているという相関関係も見られたため、腸内細菌の変化が肝機能に良い影響を与えたと考えられます。

今後の展望

腸と肝臓の互いの影響を通じてPHGGがアルコール性脂肪肝を改善する可能性が示された今回の研究。今後はこの効果がヒトにおいても確認されるのか、さらなる研究が期待されています。腸内環境の改善が肝疾患予防に寄与する可能性を多くの人々に知らせ、飲酒の影響を軽減するための一つの手段として普及していくことが望まれます。