わさびの新たな魅力を探る:第五回 わさび懇話会について
2025年6月5日、株式会社万城シーズニングパートナーズが開催した「第五回 わさび懇話会」では、わさびの持つ更なる魅力が引き出されました。このイベントには、料理業界で名を馳せるシェフたちが参加し、わさびの香りの特性や、それを引き立たせるための新しい料理法について活発な議論が展開されました。特に注目されたのは、わさびが単体だけでなく、他の食材との組み合わせによってもその魅力を増す可能性を秘めていることです。
わさびの一般的な認識と問題点
最近の調査によれば、消費者はわさびを選ぶ際、「価格」を重視する傾向が強く、品質を重視する人々は少数派です。これに対して、わさび研究の第一人者である岐阜大学の山根京子准教授は、わさび選びにおいて「香り」の重要性を訴えています。実際に、香りが引き立つことで料理全体の味わいが深まることは、多くのシェフたちが実感しています。
参加シェフたちの視点
懇話会では、各料理ジャンルの専門家たちが、それぞれの視点からわさびの香りを引き出す方法を具体的に示しました。
- - 和食の近藤明弘氏は、わさびは特に「おろしたて」で香りが最も際立つと主張。新鮮におろしたわさびを使うことで、香りや辛みを最大限に楽しめると言います。
- - イタリアンの奥野義幸氏は、わさびをハーブやスパイスのように使う方法を紹介し、わさびが持つ甘味や香りを引き出す調理法を提案。特に、乳製品との組み合わせを通して、わさびの新たな楽しみ方が発見されました。
- - マッシュルームの桜井順一氏は、オイルテンパリングや出汁を使ってマッシュルームの香りと共にわさびを楽しむ方法を紹介しました。マッシュルームとわさびの組み合わせが、単体では味わえない風味を生むことを示しています。
わさびとの新しい出会い
さらに議論は、わさびと他の食材との意外な組み合わせにまで広がりました。例えば、イタリアンの奥野氏は「わさび×豆乳」の組み合わせを提案し、豆乳がわさびの辛味をマイルドにすることで、心地よい新しい食感を生み出すことを実証しました。
和食の近藤氏は「わさび×桃」という全く新しいペアリングを提案。桃の甘味とわさびの香りが相まって、これまでにないテイストを楽しめると評価されました。さらに、味香り戦略研究所の髙橋貴洋氏からは、各ペアリングの科学的な背景も詳説され、参加者たちは実際に自分の料理に応用する方法についてディスカッションを交わしました。
わさび業界の未来を提案
懇話会では、わさび業界が直面する「わさび離れ」や生産者不足などの問題についても議論されました。地球温暖化がわさび栽培に及ぼす影響や、変化する消費者の嗜好をどう読み取っていくのかがテーマとなり、万城シーズニングパートナーズはこの課題に対して積極的に取り組んでいく方針を示しています。
終わりに
今回の「第五回 わさび懇話会」で明らかになったのは、わさびの持つ無限の魅力と、それを引き出すための様々な方法です。シェフたちの知見を家庭でも生かすことで、もっと多くの人にわさびの楽しみを知ってもらえることを期待しています。今後も、わさびが料理を豊かに彩る新たな可能性を探求していきましょう。