はじめに
近年、対話型生成AIが身近な相談相手としての役割を果たしていますが、その影響についてはさまざまな意見が交わされています。特に、「AIに相談すると医療機関への受診をしなくなる」という懸念が議論されており、その実態を明らかにするための調査が行われました。株式会社Awarefyと、その運営する「こころの総合研究所」が実施した調査では、日本国内に住む約950名を対象に、AI相談の動向や行動パターンを分析し、興味深い結果が得られました。
調査結果の概要
「メンタルケアのための相談先」として最も利用されているのは「身近な人」で、AIへの相談経験者は約4割となっています。また、相談を希望する人は全体の2割を超え、AIは主要な相談先としての地位を確立しつつあることがわかりました。ほかにも、最初にAIに相談した人の2割はその後、身近な人に相談し、さらに1割が医療機関を訪れるなど、AIと専門的ケアが排他的な関係にはないということが示唆されています。
メンタルケアにおけるAIの位置づけ
調査では、AIチャットが相談先として注目される理由が浮き彫りになっています。精神的健康度が低い層では、AIチャットが「身近な人」を上回る相談先として選ばれていることが明らかになり、AIは「エネルギーが足りないとき」に頼られる存在となっていることが示されています。この背景には、気軽に対話できる一方で、人に相談しにくい心理的障壁の存在があると考えられます。
支援につながる可能性
調査結果から、専門的な支援を受けている人の55.3%がAIを併用しているという事実が確認されました。これは、医療サービスやカウンセリングなどにおける支援がある中で、日常的な相談相手としてAIが利用されていることを示しています。AIは、単なる代替手段ではなく、専門的評価と併行して活用される「並走資源」として、既存のサポートを補完する役割を担っています。
必要な配慮と今後の課題
一方で、調査対象者の中には、メンタル不調時に「何もしない」と答えた人のうち64.8%が、その後最終的にどこにもつながらなかったことも明らかになりました。これには、「自分の状況にどのように対処すれば良いかわからない」という判断基準の欠如が影響していると考えられます。今後は、AIがより多くの人々にとって頼れる相談相手となるために、心理的な障壁を取り除く施策を講じていくことが重要になります。
結論
AIテクノロジーは、今後も進化を続ける中で、メンタルケア領域での役割がますます重要になっていくことが予想されます。本調査の結果を踏まえ、AIが安心安全な相談相手として機能し、人々が必要な専門的支援へとつながるための一助となることを期待しています。アウェアファイならびにこころの総合研究所は、引き続きこの分野における研究と教育に取り組んでいきます。