株式会社マイナビが2024年7月から9月に実施した中途採用・転職活動に関する定点調査の結果が明らかになりました。調査によると、2024年9月の企業の中途採用実施率は43.7%、個人の転職活動実施率は3.4%でした。特に興味深いのは、年代別に見た場合、30代が最も高い転職活動を行っていることです。
2024年の調査からは、企業の採用活動においてAIツールが活用される傾向が見受けられます。20代の応募者の半数以上が、AIを用いる企業に対して応募意欲が高まると回答しました。これは、「新しい施策や技術に対する好感」や「感情ではなく公平に評価される」といった理由からです。特に20代ではその傾向が顕著で、彼らは企業の柔軟性や革新性に魅力を感じているようです。
また、中途採用を担当する企業の約20%がすでにAIツールを活用していると回答しており、今後の利用を検討している企業も合わせると、約8割がAI導入に前向きであることがわかりました。従業員規模が大きい企業ほどAIツールの活用に意欲的であり、特に301名以上の企業では32%がすでに導入しています。
AIツールが活用される場面としては、「適性検査」と「採用要件の設定」が最も多く報告されています。このような状況を受けて、企業がどのようにAIを活用し人材を評価するのかは、今後の採用活動における重要なポイントになるでしょう。
企業側の視点では、AIツールの導入には生産性向上のメリットが多い一方で、その透明性や信頼性を確保する必要があります。AIがどのようなデータやプロセスで判断を下しているのかを示すことは、応募者にとっても重要です。特に、キャリアという人生の大きな転機に関わる採用活動においては、応募者が企業のAI活用について理解する権利があると言えるでしょう。
調査結果によると、個人は企業がAIを活用することに否定的ではなく、むしろ肯定的な傾向が強いことがわかります。特に世代が若い応募者ほど、この傾向が顕著であり、若手が求める柔軟性やイノベーションに応じた採用活動が求められています。今後、企業側でもAI活用の実態やそのメリットを積極的に発信し、応募者とのコミュニケーションを円滑にすることが双方にとっての利点となるでしょう。これにより、企業はより適した人材を引き付けられ、応募者は自分の価値を正しく評価される機会を得られるのです。
このように、2024年の中途採用市場では、AIツールの普及が進んでおり、その影響が企業の採用戦略や応募者の意識に与える変化が顕著です。今後もこのトレンドが続く中で、企業と求職者がどう理解し合い、協力していくのかが重要な課題となります。