高齢社会の課題解決に向けた革新的プロジェクト「iCoRP」
日本は現在、2040年には国民の約35%が65歳以上となる超高齢社会に直面しています。こうした中、「公益財団法人長寿科学振興財団」が実施する「高齢社会課題解決研究(AI)への助成」制度に、情報経営イノベーション専門職大学(iU)が提案した「iCoRP:世代間共創ラピッドプロトタイピング」が採択されました。このプロジェクトは、2026年3月から2028年2月までの2年間にわたって実施されます。
プロジェクトの背景と目的
日本では高齢者のAI利用が進んでおらず、60代の生成AI利用率はわずか15.5%という厳しい現状があります。その理由は、高齢者の視点やニーズがAI開発プロセスにおいてほとんど考慮されていないからです。そこでiCoRPは、高齢者を「教えられる側」ではなく、「共同デザイナー」として位置づける新たなアプローチを採用しました。高齢者の豊かな経験を若者のイノベーション力と融合させ、より実用的で使いやすいAIソリューションの開発を目指します。
iCoRPの主な取り組み内容
1. ### 学習セッション(基礎)
高齢者の皆さんが若者イノベーターの支援を受けながら、AIについての知識やスキルを体験的に学ぶセッションを行います。
2. ### 学習セッション(対話)
iUが開発したプロトタイプを使い、高齢者と若者が混成チームを組んで、生活上の課題について深く話し合います。これにより、共感を生み出し、具体的なニーズを浮き彫りにします。
3. ### 共創セッション
高齢者と若者が共同でデザインセッションを実施し、高齢者のニーズを反映したAIプロトタイプを開発します。これにより、実際的なソリューションを生み出せるようになります。
4. ### ビジネスプランコンテスト
若者が高齢者のニーズを考慮したAIビジネスプランを提案し、優秀なアイデアにはプロトタイピング支援が行われます。
iUの強みとプロジェクトへの活用
iUは日本での学生起業率が高く、2024年度には5.59%を記録し全国1位となっています。この「起業エコシステム」を活用し、若者が高齢者と共に新しい価値を生み出す試みを進めます。
プロジェクトの今後の展望
プロジェクトが終了した後も、iUの起業したスタートアップとの連携を強化し、さらに高齢者向けのユーザーテストラボを設置予定です。2026年5月には、対面インタビューや行動観察を通じてリアルなフィードバックを収集し、プロジェクトの成果を持続可能なものとします。
プロジェクトリーダーと学長のコメント
プロジェクトリーダーの椚田尚亨教授は、「日本は超高齢社会という課題を抱えていますが、高齢者に寄り添ったAIを開発できる最前線にも立っています。iCoRPを通じて、未経験の世代間共創モデルを発信したい」と語ります。また、学長の中村伊知哉氏は、「iUの実装力を活かして、このプロジェクトが高齢社会に関する新たな解決策を提供することを期待しています」と述べています。
高齢者と若者が共に手を取り合うことで、新しい未来のAI社会の実現を目指す「iCoRP」に注目です。