皮影戯を通じた無形文化遺産の未来を育むクラウドファンディングの始動

皮影戯（ピーインシー）とは

皮影戯は、中国に1200年以上前から伝承されている影絵芝居で、動物の皮を加工して作られた人形を駆使し、光を透かすことで物語を展開します。この伝統芸能は、その精巧な技術と幻想的な舞台演出が魅力であり、2011年にはユネスコの無形文化遺産として認定されました。皮影戯の演目には地域それぞれの方言が反映されており、語りのスタイルや歌唱法までが地域の文化と深く結びついています。

静岡大学の取り組み

静岡大学人文社会科学部の張盛開教授は、皮影戯の保存と研究を通じて、多様な文化が共生する社会の形成を目指しています。彼は、貧しい幼少期を影絵芝居を父から受け継いだ影響で育ち、以来20年以上にわたり中国の方言と無形文化遺産の研究に携わってきました。この度、張教授は「皮影戯」を通じて無形文化遺産と方言を未来へ引き継ぐためのクラウドファンディングを開始しました。

クラウドファンディングの目的と詳細

プロジェクトのタイトルは、「皮影戯を通して無形文化遺産と方言を未来へつなぐ」です。この取り組みでは、2025年に開催される国際シンポジウムで、中国から伝承者を招いて皮影戯の実演を行い、大学院生や若手研究者が地域言語文化についての成果を発表します。このシンポジウムは、参加者間での意見交換を促し、お互いに刺激を受ける場を提供します。

目標金額は100万円で、募集期間は2025年8月27日から10月22日までの約2か月間。この資金は、伝承者の招聘費や公演の準備に使われる予定です。

皮影戯を研究する意義

皮影戯の研究は、単なる伝統芸能の保存にとどまらず、地域方言の生きた使用例を探ることにもつながります。地域の言語と文化を未来に継承し、方言の価値を再認識することが目的です。皮影戯に含まれる語りや演技技法は、地域文化と密接に結びついており、これを学ぶことで、多様性や文化的基盤の重要性にも触れることができます。