認知症ケアをマンガで学ぶ
認知症は特別な病気ではなく、一人ひとりの人生の一部であることを忘れてはいけません。介護職は、認知症の方々がどのような人生を歩んできたのかを理解し、それぞれの思いに寄り添う仕事です。これまでの介護では、認知症によって引き起こされる行動を一律に排除したり、意味不明だと受け流すことが一般的でした。しかし、近年はこれに対する見方が変わりつつあります。特定の行動には必ず理由があると考え、その理解を深めることが求められています。
この変化を受け、著書『マンガでわかる介護職のための認知症ケア』では、認知症の方々のよく見られる行動を30のケーススタディとしてマンガ形式で紹介しています。これにより、介護者はそれぞれの行動の背後にある理由を探る力を養うことができます。そして、その結果として、より適切なケア方法を選択することができるようになります。
行動の理由を探る力を養う
この書籍では、認知症の方がなぜ特定の行動をとるのか、その理由を理解する方法が詳しく解説されています。たとえば、ある日突然怒り出す、落ち着かない様子を見せるといった行動は、過去の経験や現在の環境によるストレスが影響していることが多いです。このような背景を知ることで、介護者はただ単にその行動を遮るのではなく、どう寄り添うべきかを考えることができるようになります。
介護の見立てを深める重要性
この書籍が強調するのは、介護現場において「見立て」の力が極めて重要であるということです。見立てとは、認知症の方の行動を正しく理解し、そこから適切なケアにつなげる力のことを指します。従来の介護スタイルでは、見立てが欠けていることが多く、ケアが単なる対処療法に陥りがちでした。そのため、仕組みとして確立された「手立て」が、単に試されるだけだったのです。しかし、個々のケースに合わせた見立てを行うことで、初めて有効な方法が見えてきます。
マンガの力を活かした学び
著者の裵鎬洙氏は、介護業界で20年以上の経験を積んできました。彼は、人々が持つ「見立て」を高める方法を知識として提供することで、認知症の当事者に最適なケアを実現することを目指しています。
また、マンガを描いた吉田美紀子氏は、介護の現場での経験を活かして、コミックエッセイの形式で分かりやすく、かつ心温まるストーリーを描いています。この二人の力が結集した本書は、介護に従事する人々だけでなく、広く認知症への理解を深める一助となるでしょう。
結論と未来
『マンガでわかる介護職のための認知症ケア』は、認知症ケアへの新たな取り組みを提示しています。利用者を単なる病気ではなく「人」として捉えることの重要性を伝え、具体的な実践方法を示しています。これからの介護の現場が、より人間味あふれるものとなることを願ってやみません。認知症に対する理解を深め、適切なケアを実現するために、ぜひこの書籍を手に取ってみてください。
書籍情報
- - 著者: 裵 鎬洙
- - 漫画: 吉田 美紀子
- - 仕様: A5判、224ページ
- - 価格: 2,420円(税込)
- - 発売日: 2025年7月3日
興味のある方は、ぜひ書店でチェックしてみてはいかがでしょうか?