糖鎖形成に関する研究
2025-10-20 15:14:21

生物種特有の糖鎖形成に関わる酵素遺伝子の発見と進化の解析

生物種特有の糖鎖形成に関わる酵素遺伝子の発見と進化の解析



岐阜大学の研究グループが、糖鎖生合成に関与する酵素遺伝子の進化を解析し、生物種固有の糖鎖の形成メカニズムを明らかにしました。この研究は、ヒトにおける糖尿病やがんとの関連性があるN型糖鎖の枝分かれ構造に焦点を当てています。

研究の背景


糖鎖は、グルコースなどの糖が鎖状に連なり、主にタンパク質や脂質に結合しています。動物の体内では、約半数のタンパク質が糖鎖を持っていると言われ、その形状や構造は多様です。特に、N型糖鎖と呼ばれる糖鎖は、特定の枝分かれ構造が糖尿病やがんに関与することが知られています。

本研究では、MGAT4という糖転移酵素ファミリーに注目しました。この酵素は、N型糖鎖の形成において、各生物種がどのような特異的構造を有しているのかを解析するための鍵となる存在です。

研究の概要


本研究チームは、MGAT4ファミリーの遺伝子構成を調査し、特にヒトにおいて主に機能しているのがMGAT4AとBであることを明らかにしました。さらには、魚やニワトリにおいてはそれぞれ異なる遺伝子が活性を持つことも確認されました。このように、MGAT4ファミリーには、異なる機能を持つ遺伝子が存在することが進化の過程での糖鎖形成に影響を与えていると考えられています。

進化の解析


研究チームは、MGAT4遺伝子の進化を追跡することによって、A、B、D群とC、E、F、G群に分けられる特異性を見いだしました。この発見は、生物間での糖鎖構造の違いを理解する手がかりとなるでしょう。また、進化的な視点からトリや魚類とヒトとの関係を解き明かすことができました。

結果と意義


本研究の結果は、MGAT4ファミリーが糖鎖構造の形成に対していかに重要であるかを示しています。特に、種ごとの糖鎖の異なる構造が健康にもたらす影響を理解することは、将来的な医療応用に繋がる可能性があると期待されています。糖鎖の生合成の理解が進めば、糖尿病やがんの診断や治療法の開発への応用が見込まれます。

今後の展望


今後は、MGAT4CやG遺伝子の機能解明にも取り組み、さらなる研究を進めることが期待されています。これにより、生物種特有の糖鎖生合成のメカニズムが明らかになり、新たな医療分野への展開も視野に入ってくるでしょう。糖鎖の進化と機能を探ることで、健康や病気に対する新しい知見が得られることを目指しています。

論文情報


この研究成果は、2025年10月15日付のiScience誌に掲載されました。著者には、岐阜大学の木塚康彦教授とその研究チームが含まれています。この研究は、文部科学省の支援を受けて行われました。詳しい情報はDOIを通じて確認できます。


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