株式会社マイナビが発表した「2025年卒 学生就職モニター調査」の結果は、最近の就職活動における大学生や大学院生の新たな傾向を示しています。この調査は2024年6月に実施され、1,507名の学生が参加しました。その中でも特に印象的なのが、学生が企業を選ぶ際の基準でした。
企業選びのポイント
調査によると、最も重視されている企業選びのポイントは「福利厚生制度が充実している」という回答で、これに対して約40.9%の学生が賛同しました。この数字は前年比で2.8ポイント増加しており、企業の福利厚生が若者たちにとってますます重要な要素であることを示しています。
一方で、環境や社会的責任に注目が集まる中、「SDGsに熱心に取り組んでいる」という回答はわずか1.0%に留まりました。これは、給与や待遇面が自分自身の生活に直結するため、学生たちが即戦力となる企業の条件を優先する傾向があることを示唆しています。
エシカルな企業活動への関心
エシカルな企業活動への注目度も調査されました。「地方創生」や「省エネ」といったエシカルな問題に対する関心は高いものの、その具体的な取り組みに関心を寄せている人数は約半数で、47.4%の学生がこの活動に対し「注目していない」と回答しました。
就職活動における支援状況
さらに調査では、企業からの支援状況についても触れられています。約7割の学生が、交通費や宿泊費の支給を受けた経験があるとのこと。平均支給額は43,031円に達し、前年から3,572円増加しています。今年度の就職活動の総支出額は27,971円で、これも前年同月比で減少しています。特に関東地域では支給額が17,774円と最も少なく、全体的に費用負担が軽減されていることが確認されています。
理系学生の推薦状の変化
理系学生においては推薦状の提出経験が減少する傾向があります。2017年度卒業予定者では32.3%が推薦状を提出しましたが、現在は17.0%となっており、大きな差が生じています。また、入社先が決定している理系学生の89.6%が自由応募を選択しています。このように、企業が早期に選考を開始するため、推薦状を使わない学生が増加していることが背景にあると考えられます。
調査の総括
マイナビの調査では、学生たちが安定した生活を求める傾向が顕著に表れています。企業側も新卒採用の競争が激化する中、学生に対する支援を強化している様子。就労環境や福利厚生が重視される中、企業が求められるのは、ただの雇用者ではなく、学生の生活を最優先に考慮する姿勢です。
この調査を通じて、今後の採用戦略を見直す企業が増え、より実態に即した採用活動が実現することが期待されます。安定した生活基盤を実現するために、学生たちは現実的な選択肢を重視しているのです。