AI活用の現状と課題
キャディ株式会社が実施した『製造業のAI活用実態調査』では、製造業経営者484名を対象にAIの影響を評価しました。この調査では、経営インパクトを実感する経営者が57.8%に達した一方で、AIの効果が現場工程に浸透しているのはわずか2.9%にとどまっています。つまり、AIへの投資は経営体感において一定の成果を挙げているものの、業務の実践的な部分にはあまり浸透していないことが明らかになりました。
調査結果の概要
経営インパクトの実感
調査結果によると、経営インパクトを実感している経営者は、過去1年間のAIの投資から一定の効果を感じている場合がほとんどです。具体的には、「ある程度実感している」と「大いに実感している」を合わせると57.8%に達しました。その一方で、経営インパクトをほとんど、または全く感じていないとする層も42.2%を占めています。
専門業務への浸透の不足
AIの効果が現れている業務として、68.2%の経営者が事務作業に限られていると回答しました。これに対して、専門業務や現場工程は合わせてわずか17.2%の浸透にとどまっています。例えば、設計や見積もり、調達などの専門的な業務において、実感を持つ経営者はわずか22.5%、未実感の層では2.9%に過ぎません。これは、経営インパクトを実感できるためには、専門業務までAI活用が進まなければならないことを示唆しています。
開発リードタイムに変化なし
AIの進展にもかかわらず、「製品企画から市場投入までの期間が変わった」と答えた経営者はわずか18.4%に達し、63.8%の経営者は「変わらない」と回答しました。このことは、AIの経営インパクトは実感されつつあるものの、実際の開発プロセスへの影響が十分には表れていないことを示しています。
今後の重点投資項目
調査からは、製造業が今後3年間で強化したいと考えているテーマが明らかになりました。特に、「熟練技能・暗黙知のデータ化と継承」が62.4%で最多となり、経営者はこの事項が今後の成長を促進すると見ています。また、部門間の情報の整合性や人材確保なども重要視されています。
結論
この調査が示しているのは、AIの経営インパクトと実務現場への浸透には大きなギャップが存在するということです。実感はあるものの、専門業務や現場工程にどれだけ影響を及ぼすかは依然として課題が多く残されています。したがって、製造業は今後AIを活用するためには、事務作業を超えて専門業務や現場にまで影響を及ぼす仕組みづくりが急務であるといえます。今後に向けて、これらの課題をクリアするためのイノベーションが求められます。