竹コミュニティ事業
2021-02-17 14:00:03
放置竹林の再生を目指す新たな取り組み「MICHIKU-竹コミュニティ事業」
放置竹林とその社会問題
近年、日本各地で増加する放置竹林は、周辺の生態系を脅かす深刻な社会問題となっています。原因の一つには、生産者の高齢化があり、その結果、竹を管理する後継者も不足しています。これに加え、竹の需要は減少傾向にありましたが、近頃では逆に原竹の供給が著しく不足しています。このような状況は、一見矛盾しているように思えますが、実際には日本の伝統文化やデザイン分野の成長を背景に、竹への関心が再び高まっているからです。
需要と供給のミスマッチ
竹定商店によれば、伝統的な竹製品への再評価が進む中、特注の内装材の需要が増加しています。このことが、竹材料の供給不足という根本的な問題を浮き彫りにしました。特に、竹林の整備を担っていた産業が衰退しているため、竹材を一貫して生産する能力を有する竹定商店には全国から注目が集まっています。
輪竹(酒樽のタガ)を出荷する様子も見られる中、需要の回復が見込まれています。
このように、需要の再増加と供給の大幅な減少が生じている現状は、竹産業にとっての大きなターニングポイントと言えるでしょう。生産者の育成や竹林の再生に取り組むことが、古くからの竹産業を存続させるために不可欠な要素となっています。
「MICHIKU-竹コミュニティ事業」の始動
竹定商店は、京都府広域振興局、南丹市、京都商工会議所と協力し、新たなプロジェクト「MICHIKU-竹コミュニティ事業」を立ち上げました。この事業の目的は、以下の通りです。
1. 良質な竹の安定供給
放置竹林を整理し、良質な竹材を生産することで、需要に応じた安定供給を実現する。
2. 放置竹林問題の解決
放置された竹林を整備することで、生態系の確保や地域経済への貢献を目指す。
3. 山間地域の所得創出
竹の生産を通じて地域住民の収入を安定させ、地域活性化を図る。
この事業は、竹定商店が提供する造林・育成・伐採のノウハウを活用し、次世代の伐り子を育成することから始まります。生産された竹は竹定商店が適正価格で全量を買取り、品質やサイズに応じた製品に加工されて発売されます。また、加工時に出る竹粉は土壌改良剤や保湿剤として活用され、農家にとっても有益な資源となります。
未来への展望
同社は、デザイン内装材と部材生産のニーズが拡大している今後、放置竹林の整備地をさらに広げ、次世代の伐り子たちが持続可能なライフスタイルを築く手助けをする計画です。竹林の整備を通じたコミュニティビジネスの立ち上げや、他地域への展開も視野に入れています。このように、竹産業の再興を目指す動きは、地域において新たな可能性を切り拓くことにつながります。
株式会社竹定商店とは
京都・太秦に位置する竹定商店は、140年以上の歴史を誇る職人集団です。彼らは竹の可能性を探求し、伝統に敬意を表しつつも新たな試みに挑戦しています。このプロジェクト「MICHIKU」は、竹の未知の可能性を探るための重要なステップです。
竹産業の未来は、このような取り組みを通じて、地域経済の活性化や持続可能な社会の実現に繋がるでしょう。
会社情報
- 会社名
-
株式会社竹定商店
- 住所
- 京都府京都市右京区太秦桂木町6
- 電話番号
-
075-861-1712