ベトナム絹絵画家グエン・ファン・チャン展のご紹介
2023年4月28日から5月19日の期間、金沢21世紀美術館にて "愛を語る人 ―画家のまなざしをつなぐ人々の物語―" と題した特別な展覧会が開催されます。この展覧会では、ベトナムを代表する絹絵画家であるグエン・ファン・チャン(阮 潘正)の絵画保存修復プロジェクトの成果が披露されます。
グエン・ファン・チャンについて
グエン・ファン・チャンは1892年にベトナム北中部で生まれ、1984年に亡くなるまでの生涯を通して、近代ベトナム絹絵の確立に貢献しました。彼が描いた無邪気に遊ぶ子どもや働く女性の姿は、時代の変化を乗り越え、ヒューマニティに溢れたまなざしで表現されています。
絹に水彩を用い、精緻な筆致で描く技法は独自性が高く、近代絹絵の確立に彼の存在が欠かせません。しかし、長い年月と厳しい環境によって、彼の作品は傷んでしまいました。これを受け、彼の長女であるグエット・トゥ氏の強い願いを背景に、2008年に日本の支援によって絵画保存修復プロジェクトが始まりました。
保存修復プロジェクトの成果
このプロジェクトでは、絵画保存修復家として名高い岩井希久子氏が主要な役割を果たし、15年の歳月を経て、グエン・ファン・チャンの作品が見事に蘇ります。本展では、修復された全16作品を展示し、その中でも特に注目を集めるのが、《香炉の火煙(ひけむり)》の初公開です。
展示内容には、修復作品の他にも、修復工程の紹介や道具の展示、さらに保存修復に関するドキュメンタリー映像の上映も含まれています。入場料は無料で、様々なイベントが予定されています。
展覧会の詳細
- - 会期: 2023年4月28日(金)~5月19日(金)
- - 開場: 10:00~18:00(月曜休館、5月14日は臨時休館)
- - 会場: 金沢21世紀美術館 市民ギャラリーB(地下1階)
- - 主催: 一般財団法人三谷文化芸術保護情報発信事業財団
特別イベント
展覧会期間中は、クロストークや映画上映といった特別イベントも行われます。これにより、来場者はグエン・ファン・チャンの作品や、保存修復プロジェクトについてさらに深く理解する機会を得られます。クロストーク vol.1では岩井希久子氏とインディペンデント・キュレーターの林寿美氏が対談し、vol.2ではベトナム文化と新しい工芸の展望について意見が交わされます。映画「記憶を繋ぐ人々」の上映もあり、充実した内容となっています。
この展覧会は、地域に根ざした文化芸術の保護と支援を目指す一般財団法人三谷文化芸術保護情報発信事業財団による素晴らしい取り組みです。ぜひ、この貴重な機会に足を運び、グエン・ファン・チャンの絹絵の世界に触れてみてください。
まとめ
今回の展覧会は、ベトナムの歴史や文化を理解し、その奥深さを感じる場でもあります。修復された絵画とともに、そこに秘められた物語や背景を知ることで、より豊かな体験が得られることでしょう。金沢でのこの特別な機会をお見逃しなく!