宇宙輸送の未来を切り開く連携
将来宇宙輸送システム株式会社(ISC)は、商船三井および常石ソリューションズ東京ベイと提携し、ロケットの洋上回収船および洋上発射船の事業化を目指す連携協定を締結した。この合意は、2025年7月に具体的な実施に向けた活動を開始することを予定している。
宇宙輸送システムのビジョン
ISCは、「毎日、人や貨物が届けられる世界。そんな当たり前を、宇宙でも。」というビジョンを掲げ、宇宙往還を実現するための輸送システムの構築に挑戦している。再使用型ロケット「ASCA 1」を通じて、宇宙輸送の高頻度化を実現することが彼らの目標だ。洋上からの打ち上げや回収技術が確立されれば、宇宙輸送は一層現実味を帯びる。
これまでの取り組み
ISCは商船三井及び常石ソリューションズ東京ベイと共に、洋上での打ち上げ・回収の実現可能性を技術的にも事業的にも検討してきた。そして今回、ロケット洋上回収のための実証船の開発に合意した。目標は、2026年度に各種実験を実施し、2030年ごろには商業利用を目指すという野心的な計画である。
提携の目的
この連携により、以下のような具体的な検討が進められる。
1.
ロケットの洋上回収船の開発
ASCA 1に適用可能なロケットの洋上回収船の設計要件を精査し、実証を進める。
2.
ロケットの洋上発射船の事業化
洋上発射船の設計要件を明らかにし、技術的および経済的な側面からの成立性を検討する。
各社のコメント
ISCの代表取締役社長、畑田康二郎氏は、商船三井および常石ソリューションズ東京ベイとの具体的な協議の開始を喜んでいると述べ、両社の豊富な知見を活かして宇宙輸送システムの実現に向けた取り組みを強化する意向を示した。
商船三井の執行役員、安藤美和子氏も、宇宙輸送の高頻度化に貢献するために必要な技術を確立する目標を持つとし、海運業と海洋事業で培った技術を宇宙事業に活かす考えを表明した。
常石ソリューションズ東京ベイの取締役、関広史氏は、造船技術と自律運航技術の強みを生かした船の開発を行うことで、宇宙輸送の未来に寄与する意義を強調した。
会社概要
ISCは2022年に設立され、東京都中央区に本社を構える企業。宇宙輸送システムの技術実現に向けたリーダーシップを発揮している。商船三井は1884年に設立され、海運業を中心に多角的に事業を展開。常石ソリューションズ東京ベイは、1917年からの造船の伝統を持ち、技術的な強みを活かした新たな価値創造に取り組んでいる。
これからの宇宙輸送技術の進展がどのように進むか、今後の動向に注目が集まる。