QPS研究所と日本工営による新燃岳噴火調査
株式会社QPS研究所は、福岡市に本社を構える、世界有数の小型SAR衛星を開発・運用する企業です。最近、同社は日本工営株式会社と提携し、霧島新燃岳の噴火状況を衛星観測する新しい試みを行っています。
噴火の状況と観測
2025年の6月に発生した新燃岳の噴火は、7月3日13時49分に噴煙の高さが5,000mに達しました。このタイミングに合わせて、QPS研究所は緊急観測を行い、同日23時30分に得られたSAR衛星からの画像は非常に高精細であり、火口周辺の状況を把握するのに役立ちました。悪天候や噴煙の中でも地表の状態を把握できるこの技術は、火山活動の調査において非常に重要な役割を果たします。
SAR衛星の特長
SAR(合成開口レーダー)は、地表にマイクロ波を照射し、その反射を分析することで高精度な画像を得る技術です。この特性により、昼夜を問わず、悪天候の中でも観測が可能であり、今回の火山噴火のような迅速な状況把握において特に有効です。また、山頂や噴火中の状況を把握できるため、人的リスクの回避が可能で、火山活動の調査においては、目に見えない风险を可視化する手段としても重要です。
今回の観測結果
観測結果は、日本工営の協力により詳細に分析されました。国土地理院や産業技術総合研究所の結果と照らし合わせて、火口から北東部に広がるL字状の噴出物エリアの視認ができました。この過程において、SAR衛星の高解像度画像が特に役立ち、状況の迅速な判断を助ける情報基盤となりました。
今後の展開
QPS研究所は、新燃岳の噴火状況を引き続き観測する計画であり、長期的な火山活動の追跡を行います。また、同社は小型SAR衛星コンステレーションの構築を進めており、ほぼリアルタイムでの観測を目指しています。これにより、災害時の被害状況をより迅速に把握し、的確な情報提供が可能になると期待されています。さらに、日本工営が展開する社会基盤構築の各分野との協力で、新たな衛星データサービスの開発や市場展開を視野に入れています。
日本工営の見解
日本工営の田方智氏は「L字型の噴出物エリアは噴火による堆積物で、QPS-SARによる高解像度画像が解析に貢献した」と述べ、今後の火山防災におけるSAR衛星の活用に期待を寄せています。これからも社会基盤を支えるリーディングカンパニーとして、QPS研究所と共に新たな事業創出に取り組む姿勢を示しました。
まとめ
QPS研究所と日本工営の協力によって、新燃岳の噴火調査は今後さらに精度を増し、社会の安全な暮らしを支える重要な手段となるでしょう。今後もこの革新的な技術がいかに活用されるか、注目が集まります。