新卒採用におけるエピソード脚色の実態
近年の新卒採用市場において、学生が面接時に語るエピソードが脚色される傾向が強まっています。株式会社履修データセンターによる調査報告によれば、2025年卒業予定の大学生の実に8割以上が就職活動中に自己の経験やエピソードを誇張していることが明らかになりました。この調査は、就職活動における透明性の問題に一石を投じています。
調査の概要と結果
この調査は約600名の大学生を対象に実施され、インターネットを通じて行われました。調査結果は、学生の約48%が「8割以上の学生がエピソードを脚色している」と認識しており、さらに「6~7割」と考えている学生も加えると、72%にも達するという結果が出ました。また、具体的に「8~9割」と考える学生の割合も38%と高いのが特徴です。
一方で、採用担当者への別の調査結果でも興味深いデータが得られています。約60%の採用担当者が学生のエピソードの脚色に気付いていると答えましたが、反対に40%はそれに気付いていないとのこと。これにより、自己脚色されたエピソードが採用に影響を与えている実態が浮かび上がります。
エピソードの脚色とは?
具体的には、サークル活動の規模を誇張したり、イベントの成功を自分の手柄として語るなど、部分的に事実を誇張するケースが多いです。最近では、生成AIを利用してより巧妙なエピソードを作成する学生も増加しており、エピソードの脚色はますます精巧になっています。
企業側の見直しが急務
このような現実を受けて、企業側には採用プロセスの見直しが求められます。面接時に用いる評価基準や質問内容を再検討し、本当に学生の実力を把握できるような環境を整えることが急務です。採用活動が学生のエピソードに依存するのではなく、その真実味を見極める姿勢が必要です。
まとめ
株式会社履修データセンターが実施したこの調査結果は、新卒採用市場における透明性の重要性を改めて痛感させます。学生と企業の双方が実際の能力や経験を正確に伝え合える環境作りが求められていると言えるでしょう。正直なコミュニケーションが、新卒採用の質を向上させるカギとなるはずです。