AIとカメラで進化する倉庫の安全管理システムとは

近年、企業は物流業界におけるデジタル化を進めており、特にセキュリティの面でも新しい技術の導入が進んでいます。そんな中、大塚倉庫株式会社と株式会社ソラコムの共同開発によって、カメラと生成AIを活用した倉庫の侵入検知システムが誕生しました。この新システムは、IoTプラットフォームを基盤にしており、より効率的な倉庫運営を実現するための強力なツールとして期待されています。

新しいシステムの概要

大塚倉庫は医薬品や食品、日用品などの物流を担当しており、その安全性を高めるため、IoTアプリケーション「SORACOM Flux」を利用した新たな侵入検知システムを開発しました。このシステムでは、倉庫内に設置したカメラが定期的に静止画を撮影し、生成AIがその画像を解析します。不審な行動や不正侵入者を検知すると、即座に倉庫管理者に通知が送信される仕組みです。

これまでのように録画された映像を後から確認する必要がなくなり、リアルタイムでの対応が可能となることで、倉庫の安全性や業務の品質が大幅に向上します。

効率的な業務運営のためのデジタル化

大塚倉庫は「コネクテッド物流」というビジョンのもと、従来の経験則に依存することなく、デジタル技術を活用して効率的な倉庫・輸送オペレーションの実現を目指しています。実際、この春から日本全国の物流拠点をリアルタイムで可視化し、一元管理する仕組みの構築に着手しています。

SORACOM Fluxの利点

特に注目すべきは、「SORACOM Flux」の柔軟性です。自然言語で検知条件を簡単に変更できるため、ユーザーは現場ドリブンでの適応が可能です。例えば、ヘルメットの有無や服装といった詳細な情報を与えることで、より精度の高い検知が実現できます。このように、アプリケーション開発をローコードで行える利点も大きいです。

実証実験とその意義

短期間でシステム構築を行ったこのプロジェクトでは、PoC（概念実証）を経て、生成AIによる不正侵入者の検知に成功しました。一か月での実現は、従来のプロジェクトに比べ圧倒的に早いと言えます。そして、ただの侵入検知に留まらず、出荷作業の解析など、幅広い応用を見込まれています。

関係者の声と今後の展望

大塚倉庫の最高技術責任者である関谷清氏は、「柔軟性が求められる物流業界において、リアルタイムに情報が共有されることはとても重要です。生成AIを活用したこのシステムにより、倉庫業務の品質向上を図ります」とコメントしています。今後は、この新しい技術を用いて倉庫業務のさらなる効率化と安全性の強化を目指すとのことです。