世界予防接種週間で伝えたいワクチンの重要性
2025年4月21日から25日までの期間は「世界予防接種週間」です。この機会に、特に近年悪化しているはしか(麻疹、麻しん)の危険について考え、ワクチン接種の重要性を再認識したいと思います。
コロナ禍以降の危機的状況
新型コロナウイルスの影響で、世界中で感染症の流行が再燃しています。日本国内でも、今年に入ってはしかの発症例が増加しており、特に海外渡航歴のない患者からも感染が確認されています。これは、コロナ禍を経て、私たちの生活がどれほど密接に感染症の危険と隣り合わせであるかを示しています。
「認定NPO法人 世界の子どもにワクチンを 日本委員会」(JCV)は、この世界予防接種週間においてはしかの流行について情報発信を行い、ワクチン接種を促すことを目的としています。
はしかの感染力とそのリスク
はしかは、麻疹ウイルスによって引き起こされる非常に感染力の強い病気です。全身に発疹が現れ、高熱が続くほか、時に脳炎や肺炎といった深刻な合併症を引き起こし、場合によっては死亡に至ることもあります。この病気の恐ろしさの一つは、免疫を記憶する細胞を破壊する性質があり、ハーバード大学の研究によれば、感染後は獲得免疫の大部分が消失することが知られています。
また、はしかは空気感染によって広がるため、一人の感染者が約12人にウイルスを広めるとされています。この感染特性から、ワクチン接種が唯一の防御手段とも言えます。
国内外での増加するはしかの症例
国連児童基金(ユニセフ)と世界保健機関(WHO)の最新の報告によれば、2024年に世界全体で約36万人がはしかを発症しました。特にヨーロッパと中央アジアでの増加が顕著です。この地域の53カ国での症例数は12万を超え、特に5歳未満の子どもが多数を占めています。
国内でも同様の傾向が見られます。国立感染症研究所によると、2023年3月末までに確認されたはしかの症例は58件と、前年同期の2倍以上です。日本は世界でも珍しいはしかの清浄国であり、まだウイルスが存在しないとされていますが、海外からの持ち込みや、渡航歴のない感染者の確認が増えています。
感染拡大の背景とワクチンの必要性
現代のグローバル化が進む中で、ウイルスや病原菌も人の移動に伴い世界中に広がっています。私たちがワクチンを通じて防ぐことが非常に重要な理由です。子どもたちを感染症から守るためには、特に途上国の子どもたちにワクチンが必要です。
JCVは、1994年に設立以来、ワクチン寄付や教育活動を通じて、子どもたちの未来を守るために取り組んできました。私たちの活動を通じて、国内外の子どもたちが感染症から守られ、健康的に成長できるような社会を目指しています。
まとめ
現在の感染症の流行状況を踏まえ、ワクチン接種は非常に重要です。私たち一人一人がワクチン接種への理解を深め、行動を起こすことが求められています。世界のどこで感染症が発生しても、私たちの生活に影響を与える可能性があるからこそ、子どもたちを守るために今できることを考えましょう。