最近、キリンホールディングス株式会社の子会社である協和発酵バイオが、ヒトミルクオリゴ糖(HMO)の一種である2'-フコシル乳糖(2FL)が、欧州連合で新規食品として承認されたことが発表されました。この承認を受けて、2024年8月19日から、EU加盟27カ国において、協和発酵バイオが製造する乳児用ミルクや食品に2FLが使用できるようになります。
HMOは母乳に豊富に含まれる成分で、乳幼児の成長に重要な役割を果たしています。その中でも2FL、3'-シアリルラクトース(3SL)、6'-シアリルラクトース(6SL)の3品目がEUでの承認を受け、今後HMOの展開が加速する見込みです。特に2FLは、乳幼児の免疫機能や腸内環境の正常化に寄与することが期待されています。
この分野での協和発酵バイオの歴史は長く、1990年代からHMOの研究を進め、2000年には世界初の工業レベルでHMOを大量生産する体系を確立しました。2022年にはタイに新たな工場を設立し、商業生産を開始。これにより、HMOの供給体制が整い、さらなる市場拡大が期待されています。
EUでのHMOの使用は、特に台湾や東南アジア地域における乳児用粉ミルクの需要が高まり、人口増加が見込まれるため、成長市場におけるさらなる拡張が期待されます。HMO入り粉ミルク市場は、年平均成長率が20%から30%と予測されており、協和発酵バイオはこのトレンドを活かして新たなビジネス展開を模索しています。
新規食品(Novel Food)とは、1997年以前に欧州で顕著に消費されてこなかった新しい食品を指します。新規食品としての販売には、欧州委員会の承認が必要です。協和発酵バイオが持つ2FLはすでにEFSAによる安全性評価をクリアし、安心して使用できる成分として認められています。
協和発酵バイオの取り組みは、ただHMOを展開するだけでなく、ライフサイエンスやテクノロジーの最新の進歩を活かした製品開発によって、健康に対する新しい価値を提供することを目指しています。キリンホールディングスとしても、このビジョンをサポートし、自然と人々に優しい製品を通じて、「食と健康」をテーマにした新たな価値の創造に貢献していく考えです。
今後もHMO市場の進展に注目が集まります。特に、HMOが持つ可能性とその健康への影響は、科学的研究に裏付けられた期待感を持って多くの人々から支持されています。