環境に配慮した未来の道路、高機能化舗装「マルチペイブ」の全貌
日本の道路インフラは、近年著しい進化を遂げています。特に、モビリティの新たな技術が登場する中で、既存のアスファルト舗装に代わる新しい提案が求められるようになっています。そんな中、株式会社大林組がトヨタ自動車株式会社、株式会社豊田中央研究所、大林道路株式会社と共同で開発したのが、変化する街や道路インフラのニーズにマッチした高機能化舗装「マルチペイブ」です。
1. 背景:進化し続ける交通インフラ
今日、交通インフラは自動車の電動化や自動運転の導入、さらには非接触給電技術など様々な新技術の影響を受けています。これらの技術を効率的に普及させるには、迅速に道路を更新できるシステムが不可欠です。また、集中豪雨が増加している現代において、耐久性だけでなく、道路の冠水防止も重要な課題となっています。これに応える形で開発されたのが、マルチペイブです。
2. マルチペイブの構造と特徴
マルチペイブの構築は、下面に溝を設けた高機能化路版同士を連結板で固定するという独自の構造を持っています。この構造によって、容易に設置・取り外しが可能になっており、任意の条件に応じた機能の充実が図られています。例えば、発光機能や透水・排水機能を追加することで、より多くのニーズに応えることができます。
実際の高機能化路版の重さは約115kgで、5t級のクレーンを使って設置可能です。選択可能な機能は、視認性を高める設計も含まれており、簡単にその取り替えも可能です。
3. 実物大モックアップでの有効性確認
大林組技術研究所では、実物大のモックアップを構築し、マルチペイブの施工性を検証しました。幅3.9m、長さ6.6mのモックアップ上での走行実験では、ダンプトラックの走行による隙間の変動は2mm以内で、規定の許容範囲を満たしていることが確認されました。また、作業時間も約5分と、迅速性に優れた施工性が確認されました。
4. 発光表示機能と透水性の評価
マルチペイブには、路面発光表示機能が搭載されています。これは、横断歩道付近で歩行者を感知すると自動で発光する仕組みで、ドライバーに対する注意喚起が可能です。この機能を搭載した路面は、動作確認の結果、正常に機能していました。
さらに、透水性の高機能化路版についても評価を行い、実験によって排水機能が十分に発揮されることが確認されました。注水開始から8分ほどで排水量が均衡を保つことがわかり、今後の豪雨対策にも貢献することが期待されます。
5. 将来への展望
大林組は、マルチペイブの実用化に向けて、さらなる実験や施工を続ける意向です。新たなモビリティ技術との統合を図り、未来のスマートシティにふさわしいインフラ基盤の構築を目指しています。これにより、今後の都市生活がより快適で安全なものになることが期待されます。
未来のインフラを見据えた高機能化舗装「マルチペイブ」。その可能性は無限大で、私たちの交通環境を一新する力を持っています。