オランダ企業から学ぶLGBTQ+インクルージョン
2024年10月1日、オランダ王国大使館公邸で開催された「職場におけるLGBTQ+インクルージョン」をテーマにしたラウンドテーブルでは、先進国であるオランダ企業のベストプラクティスが取り上げられました。このイベントは、総合人材サービスを提供するランスタッド株式会社が、駐日オランダ王国大使館、在日オランダ商工会議所と共同で実施したものです。近年、職場環境における多様性やインクルージョンの必要性が高まる中、LGBTQ+についても理解を深めることが重要視されています。
日本の現状
ランスタッドの調査によると、実に34%の日本のLGBTQI+労働者が職場で差別を受けており、23%はこの影響で退職せざるを得なかったといいます。特に、調査では日本の雇用主がLGBTQ+に対して公平な職場環境を提供するための行動をとっていると感じている人の割合は、グローバル平均の51%に対して35%と低いことが示されました。若い世代が直面する差別問題に対し、企業の対応が遅れていることが懸念されています。
ラウンドテーブルの目的
「オランダ企業によるラウンドテーブル」の開催は、人材を取り囲む社会課題の重要性が増す中で、オランダ企業がエンプロイヤーブランドやED&I(多様性・公平性・包括性)の重要性を周知し、日本における認知を高めることを目的としています。今回は、オランダ企業の柔軟な働き方やインクルーシブな文化を実現するための取り組みについて、具体的な事例を交えて議論を行います。特に、参加者の中には企業の人事担当者やED&Iの重要性を強く意識している団体の代表者も含まれており、交流が注目されました。
プログラムの内容
本イベントでは、オランダ王国大使の開会挨拶の後、LGBTQ+インクルージョンに関するプレゼンテーションが行われました。キム・ユリ氏による「職場におけるLGBTQ+インクルージョン」の講演や、村松栄子氏からの「LGBTQ+ガイドライン」の紹介があり、その後パネルディスカッションが続きました。参加者は、民間企業がLGBTQ+のインクルージョンを推進するためにはどのような取り組みが必要かを真剣に考察しました。
特に、Z世代とベビーブーム世代の労働者が感じる雇用主への期待の違いも話題となり、若い世代が求める「もっと踏み込んだ対応」が必要であるという共通の認識が得られました。これらの議論は、今後の企業の方針や施策に影響を与える重要なステップとなるでしょう。
ラウンドテーブルの成果
このラウンドテーブルは、エンプロイヤーブランドやED&Iの重要性に対する認知を深めるとともに、日本におけるLGBTQ+インクルージョンの普及を目指す重要な機会となりました。参加者は、オランダ企業の実績を学ぶことで、自社におけるインクルーシブな環境作りへの意識が高まったと感じています。
結論
働き方先進国として知られるオランダからの学びを通じて、日本の企業もLGBTQ+インクルージョンを推進する課題に真正面から取り組むことが求められています。多様性を尊重することで、より良い職場環境を作り出すことは、今や企業の成長に欠かせない要素となっています。このような取り組みが広がることで、日本全体の職場の雰囲気も変わっていくことでしょう。