はじめに
最近、カスタマーハラスメント(カスハラ)が顧客対応の現場で深刻化しつつあり、サービス業だけでなく様々な業種でこの問題が顕在化しています。従業員に対する暴言や長時間の拘束など、精神的にも肉体的にも大きな苦痛を与えるこれらの行為は、企業にとっても業務効率を低下させる要因となります。福岡県に本社を置く株式会社イデックスビジネスサービスが実施した「カスハラの実態と電話対応における課題」に関する調査は、こうした現状を詳しく掘り下げたものです。
調査概要
今回の調査では、接客業以外で顧客対応を行う会社員500人と、情報システム担当社員524人の計1,024名を対象に、カスハラの発生状況やその対策について尋ねました。調査の実施期間は2025年2月14日から17日までで、方法はPRIZMAによるインターネット調査が用いられました。
電話システムの現状
調査開始にあたり、どのような電話システムを使用しているかを尋ねたところ、従来のビジネスフォンが59.5%と最も多くの回答を集めました。続いて、会社支給の携帯電話が39.9%、IP電話が24.6%という結果でした。これにより、電話対応の現場では依然として旧式のシステムが多く使用されていることが明らかになりました。
カスハラの状況
接客業以外での電話対応を行う会社員に対し、カスハラの被害についての質問を行ったところ、31.4%の回答者が「自分自身がカスハラを受けた」と答えました。さらに、24.6%の人々が「社内でのカスハラの被害を聞いたことがある」と回答し、全体で過半数がカスハラの事例を認識する状況でした。具体的には、暴言や怒鳴り声、長時間の拘束などが多く、精神的な負担が大きいことも分かります。
また、カスハラに対する社内での対策を尋ねたところ、約20%の企業で何らかの対策が講じられているとの結果が出ました。しかし、これに対する評価は厳しく、約半数の回答者が「全く有効でない」または「あまり有効でない」と答えており、企業内でのさらなる対策の強化が求められています。
情報システムの役割
情報システム担当の社員への質問では、76.5%がカスハラ対策に対してサポートを行っていると答えました。最も多くの人が「システムによる記録の自動化」が必要であると感じており、AIの導入や対応マニュアルの改善も要望されています。これにより、技術による支援が今後の対策の鍵であることが浮き彫りとなりました。
必要な機能
さらに「カスハラ防止のために必要と思う機能」として、42.4%がブラックリスト管理機能、42.0%が通話録音機能を挙げています。これにより、特定の顧客管理や状況の記録が重要視されていることが分かります。
まとめ
今回の調査結果から、カスハラの影響が企業においても大きな問題であることが改めて確認されました。特に電話対応業務におけるカスハラの発生が多く、従業員の精神的負担が深刻であるにも関わらず、企業の対策は不十分です。今後は、技術を活用した対策やシステムの改善が求められており、特に通話録音機能やAI分析に対するニーズが高まっています。